2013 Fiscal Year Annual Research Report
システム生物学的手法を用いた癌幹細胞の新規分子標的の同定
Project Area | Development of Novel Treatment Strategies Targeting Cancer Stem Cells |
Project/Area Number |
22130009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 典子 東京大学, 医科学研究所, 客員研究員 (10251448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野原 邦彦 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (50549467)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 癌 / 遺伝子 / 蛋白質 / 細胞・組織 / トランスレーショナル研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
HRG-HER-NFkBシグネチャーならびにHRG-HER-PI3Kシグネチャーから、得られた候補分子、IGF2, AR, GDF15, MICAL3などについて、乳癌臨床検体のスフェア培養の系を用いて、癌幹細胞維持に重要な役割を果たしていることがわかった。分子機構を詳細に解析した結果、IGF2-ID1-IGF2サーキットの形成が、乳癌幹細胞の幹細胞性の維持に重要であることがわかった。 ARは、EGFRのリガンドである。そこで、EGFRの代表的なリガンドであるEGFとスフィア形成能を比較した。その結果、ARのほうに、EGFよりも強いスフィア形成能が認められた。その分子機構を詳細に調べたところ、リガンド刺激に伴うEGFRの蛋白レベルのダウンレギュレーションが、EGF刺激ではおこるが、AR刺激ではほとんどおこらないことがわかった。蛋白質のダウンレギュレーションに重要な役割を果たすE3ユビキチンリガーゼCblが、EGF刺激によってEGFRとの結合が促進される一方、AR刺激によってはEGFRとの結合が促進されないことがわかった。CblとEGFRとの結合の違いによって、ARとEGFのスフィア形成能に違いが生じることが示唆された。 FRS2betaは、正常乳腺ではluminal細胞の前駆細胞に発現する一方、がん組織では癌幹細胞に発現していることがわかった。FRS2betaが発現している細胞は、ERKの活性が比較的低く、そのために細胞の未分化性が保たれていることがわかった。その際に、ID3, Hes1の発現が上昇することがわかった。 当概領域メンバーとの共同研究を進め、鍵分子抽出を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳癌幹細胞維持の鍵分子候補が終了し、候補分子の評価が進み、癌幹細胞維持に重要な役割を果たすと考えられる分子が得られるにいたっている。 FRS2betaが、癌幹細胞マーカーである可能性がでてきた。 共同研究の数もふえ、DNAマイクロアレイ解析とパスウエイ解析が順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、癌幹細胞維持の鍵分子候補の機能解析を進める。重要な鍵分子については、患者由来臨床検体を用いたxenograft(patient-derived xenograft: PDX)の系や、臨床治験中の阻害剤を用いて、評価を進める。FRS2betaが、乳癌幹細胞のマーカーになりうる可能性を検討する。引き続き、DNAマイクロアレイ解析とパスウエイ解析を行う。
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Research Products
(10 results)