2012 Fiscal Year Annual Research Report
Histone methyltasferase links transcription to DNA repair.
Project Area | Coupling of replication, repair and transcription, and their common mechanism of chromatin remodeling |
Project/Area Number |
22131003
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
青田 聖恵 (浦聖恵) 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80289363)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | クロマチン / ヒストンメチル化 / Whsc1 / B細胞分化 / DNA損傷応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒストンH3,36番目のリシン残基のメチル化(H3K36me)は、種を越えてゲノム全体で進行中の転写活性領域に分布を示すが、転写との直接の繋がりが未だに判然としないヒストン修飾である。H3K36me特異的な酵素Wolf-Hirschhorn syndrome candidate 1 (Whsc1)の欠損マウスは、成長遅延や骨形成異常を示す他に、脱毛など早老の傾向を示す。そのタンパクはユークロマチンに局在して、特定の転写因子やクロマチン修飾因子の他にTip60や53BP1などのDNA損傷応答因子と複合体を形成する。そこでDNA損傷応答の異常が細胞分化に大きく影響するリンパ球系でWhsc1の機能解析を進めた。 遺伝子欠損マウスは出生直後に死亡するために、胎仔肝臓の造血幹細胞を研究に用いて、ストローマ細胞との共培養、および骨髄移植解析を行い、Whsc1がB細胞およびT細胞の分化に必要であることを見出した。B細胞・T細胞分化過程では、IgH遺伝子座やTCR遺伝子座など、特定の遺伝子座で転写活性化と協調した非相同末端連結によってプログラムされたゲノム組換えが進行する。Whsc1欠損マウスの骨髄細胞ではゲノム組換えの段階を経るにしたがって、細胞数の減少が認められた。そしてB細胞分化過程ではDNA組み換え異常がp53とWhsc1ダブル欠損によって増強することが確認された。以上の結果から、H3K36メチル化酵素Whsc1が、転写活性領域の非相同末端連結組換えを促進してゲノム維持に機能することが示唆された。新規の転写-DNA修復共役機構に繋がることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
複合体の解析から、DNA損傷応答との関わりが想像されたが、遺伝子欠損細胞における、転写異常をDNAアレーを用いて網羅的に調べても、特定できなかった。また、通常の放射線処理やDNA切断に対する感受性の異常も認められず、解析が難航した。V(D)J組み換えのようなプログラムされたDAN損傷応答に焦点を絞ることによって、ようやく機能解析を軌道にのせることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
V(D)J組み換えに機能することが示唆されたので、B細胞分化過程で、IgH遺伝子座におけるH3K36me酵素Whsc1のクロマチン分布状態を明らかにして、組み換え反応と直接関わるか検討する。また非相同末端連結反応効率をGFPによって定量的に測定する培養細胞系を用いて、Whsc1が組み換え修復に機能する可能性を検証する。
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Research Products
(3 results)