2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Coupling of replication, repair and transcription, and their common mechanism of chromatin remodeling |
Project/Area Number |
22131005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安井 明 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (60191110)
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Keywords | クロマチンリモデリング / 二重鎖切断 / 非相同末端結合 / 相同組換え / 癌治療 |
Research Abstract |
クロマチンリモデリングのDNA損傷の修復機構への影響について、とりわけ細胞に重要なDNA二重鎖切断の修復への影響を解析し、以下に述べる重要な発見をした。転写や複製に際してクロマチンをATP代謝のエネルギーで動かす機能を持つCHRAC複合体であるACF1/SNF2H/CHRAC15/CHRAC17の複合体が、二重鎖切断のNHEJによる修復とさらに相同組換えの双方の過程に必須である事が判った。NHEJではACF1がKU70/80に直接に結合し、この結合がKUの二重鎖切断への集積と二重鎖切断の修復に必要である事が判った。SNF2HのATPaseモティーフはKUの二重鎖切断への集積には必要でないが、二重鎖切断の修復には必要である。CHRAC15/CHRAC17の複合体もKUの二重鎖切断への集積に必要である。ACFIは常時KUと結合し、細胞に二重鎖切断が生じるとその結合が強まる。ACF1/SNF2Hは発現を抑制すると、X線や薬剤で細胞内に作った二重鎖切断の再結合がされず、リン酸化H2AXが減らず、細胞内ゲノム上に作った二重鎖切断をモニターすると修復されないことが明らかになった。さらに、X線、ブレオマイシン、シスプラチン、MMSなどのDNA鎖切断、とりわけ二重鎖切断を作らせる処理に対して、ACF1やSNF2Hの発現を抑えた細胞は高感受性となった。多くの癌細胞では、これまでにこれらのATP依存的クロマチンリモデリング因子の発現低下や喪失が見られているので、この発見は、これらの癌細胞が修復欠損の性質を持ち、種々の二重鎖切断を引き起こす処理に対して感受性である事を示唆している。この性質を使えば、多くの癌細胞の特異的な不活性化が可能となり、効果的ながんの治療につながる事が期待される。
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Research Products
(2 results)