2011 Fiscal Year Annual Research Report
複製と修復をカップリングする損傷乗り越え複製の普遍性
Project Area | Coupling of replication, repair and transcription, and their common mechanism of chromatin remodeling |
Project/Area Number |
22131008
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
花岡 文雄 学習院大学, 理学部, 教授 (50012670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益谷 央豪 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40241252)
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Keywords | DNAポリメラーゼη / REV1 / 紫外線損傷 / Hsp90 / 体細胞超突然変異 / 損傷乗り越え複製 / モノユビキチン化PCNA |
Research Abstract |
研究代表者および研究分担者は、複製と修復をカップリングする損傷乗り越え複製の普遍性を明らかにするために、以下の研究を協力して進めた。 (1)ヒトREV1の機能の解析:ヒートショックタンパク質Hsp90は、DNA損傷応答に関係したタンパク質の制御に関わっていることが知られている。REV1の制御を調べるためにHsp90との相互作用を調べたところ、両者は物理的に相互作用していることが分かった。Hsp90の特異的阻害剤17-AAGはREV1タンパク質のレベルを下げ、紫外線誘発突然変異頻度を下げる。同時に17-AAGはモノユビキチン化PCNAとREV1との結合を低下させ、REV1のフォーカス形成を下げることも示された。すなわちHsp90はREV1の構造を保ち、その機能を制御することが分かった。 (2) ヒトNBS1の損傷乗り越え複製における役割の解析:NBS1はDNA2本鎖切断の修復に必須のタンパク質であるが、このたびPol ηの紫外線損傷部位でのフォーカス形成にも必須であることが分かった。NBS1は直接的にはRAD18と相互作用し、RAD18の損傷部位へのリクルートに働くこと、またRAD18はRAD6と協同してPCNAのモノユビキチン化に働くが、NBS1とRAD6とはRAD18の同じ部位と相互作用することが分かった。 (3) 体細胞超突然変異 (SHM) におけるREV1とPOLHの遺伝的相互作用:REV1の不活性型変異体とPOLH遺伝子欠損を組み合わせて、SHMにおける両遺伝子の作用を調べたところ、それぞれ単独の変異に比べ、両方に変異を持つマウスはCからGおよびGからCのトランスバージョン変異を低下させることが示された。この結果から、上記トランスバージョン変異はREV1の触媒活性とPOLHが起こす経路のほか、REV1の非触媒活性とPOLHの関わる別経路によって起きることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Pol η複合体の質量分析機による解析や酵母2ハイブリド法などによって、Pol ηと相互作用するタンパク質が多数検出されており、多面的な機能が示唆されている。本年度は、そうしたことに関係して、ヒトREV1とヒトNBS1について、タンパク質間相互作用の生理的な意義の一部を明らかにすることが出来た。またPol ηとREV1の遺伝的な相互作用が体細胞超突然変異(SHM)に関係していることも分かり、SHMに新たな局面が開かれた。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までに達成度」の項で述べたように、Pol ηと相互作用するタンパク質が多数検出されており、それらの解析をさらに進めることでPol ηの多機能性がより明らかになることが期待される。損傷乗り越え複製におけるクロマチンリモデリングの研究も準備を進めており、出来るだけ早い時期に手掛けていきたい。
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Research Products
(10 results)