2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Molecular mechanisms for establishment of sex differences. |
Project/Area Number |
22132004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
緒方 勤 独立行政法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 部長 (40169173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深見 真紀 独立行政法人国立成育医療研究センター, 分子内分泌研究部, 室長 (40265872)
筒井 和義 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (20163842)
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Keywords | 性差構築 / ヒト疾患解析 / 性分化疾患 / MAMLD1 / POR / アロマターゼ過剰症 / 遺伝子型-表現型解析 / プロモーター |
Research Abstract |
本年度における主たる成果は以下の通りである。 ●MAMLD1のノックダウン実験とノックアウトマウス解析:MAMLD1は、2006年にわれわれが同定した性分化疾患(尿道下裂)責任遺伝子である。本年度、マウスライディッヒ細胞腫瘍株を用いたノックダウン実験により、MAMLD1がCYP17A1発現低下を介して男性ホルモン産生を傷害し、尿道下裂を招くことが判明した。また、ノックアウトマウスにおいて、外性器形態、ホルモン産生動態、遺伝子発現定量、組織評価を終了し、マウスにおいても男性ホルモン産生酵素の活性低下は存在するが、性分化臨界期の種差などのため、マウスでは性分化疾患が生じないことを見出した。これは、男児のみの性分化疾患を生じるMAMLD1異常症の発症機序の解明に有用なデータである。 ●POR遺伝子プロモーターの同定:PORは全てのミクロゾーム酵素の電子伝達を担う分子である。われわれは、2009年、35例のPOR異常症患者を集積し、女児における男性化を招くbackdoor pathwayという新たな男性ホルモン産生経路の同定など、その詳細な遺伝子型-表現型解析を報告した。本年度、この解析過程で判明した転写障害を有する患者3例において、非翻訳エクソン周辺のみの欠失を同定し、この領域に存在する3つのSP1タンパク結合部位がプロモーター活性に必須であることを見出した。これは、性分化疾患の重症度や頻度に性差がみられるPOR異常症の原因解明に大きく貢献する。 ●アロマターゼ過剰症の発症原因解明:アロマターゼ過剰症は、CYP19A1の活性高診に起因する稀な疾患で、現在までにCYP19A1を含む染色体逆位が原因として同定されていた。本年度、われわれは、CYP19A1プロモーターの重複やCYP19A1上流の欠失もアロマターゼ過剰症を招くこと、そして、融合したエクソンの構造や異常遺伝子の発現パターンが重症度決定因子であることを見出した。これは、男性における女性化乳房を特徴とする本疾患の理解を大きく促進するデータである。
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Research Products
(62 results)