2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | HLA polymorphism, disease and evolution |
Project/Area Number |
22133006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮寺 浩子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40361464)
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Keywords | HLA / MHC / 自己免疫 |
Research Abstract |
HLAクラスIIは多くの自己免疫疾患、感染症の最も強い遺伝要因である。しかし、そのメカニズムは解明されていない。この最も顕著な例はナルコレプシーである。ナルコレプシーでは患者のほぼ100%が同一のHLAクラスIIアリルを持ち、ゲノムワイド関連解析でもHLAクラスIIとの顕著に強い関連が認められる。しかし、未だに自己抗原同定に至っていない。 本研究はナルコレプシー、及び、同様にHLAクラスIIが最も大きい遺伝要因である一型糖尿病、慢性B型肝炎の病態機序解明を目的とする。具体的には病態に関与するペプチドの同定を目標としている。また、提示抗原が既知であるインスリン自己免疫症候群(IAS)を対象として、組換えHLAタンパク質の高密度発現系の構築・HLAテトラマー作成系の確立を行う。 平成23年度は、組換えタンパク質の昆虫細胞発現、ペプチド結合測定、テトラマー作成を実施予定であった。このうち、組み換えタンパク質の発現は既に達成した。ナルコレプシーに関与する自己抗原の探索については、候補ペプチドを策定しペプチド結合測定を行うための予備実験を進行中である。一型糖尿病については、疾患感受性・抵抗性・中立性アリル産物の組み換えタンパク質発現を行い、自己抗原候補ペプチドを予測した。慢性B型肝炎についても、組み換えタンパク質の発現系を構築し、B型肝炎ウイルス表面抗原タンパク質の配列を基に、疾患感受性・抵抗性に関与する可能性が高い抗原ペプチドを予測した。HLAテトラマー作成については、組み換えタンパク質の高密度培養系を構築した。これらの成果によってHLAが関与する疾患メカニズムの解析を引き続き実施するための材料・実験技術が整備された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HLA-ペプチド結合測定系の確立に想定以上の時間を要したが、当初の研究計画から大きく遅れることなく、おおむね順調に進展している。論文作成と成果の発表は当初の予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度前半にHLA-ペプチド結合測定をおおむね終了し、H24年度後半は得られた成果の論文発表を行う。H25年度以降は、これらの測定結果を基に、各疾患に関与するHLAアリル産物について、HLAテトラマーを作成し、各HLA-ペプチド複合体を認識するT細胞の同定に着手する予定である。
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Research Products
(11 results)