2012 Fiscal Year Annual Research Report
Genetic and immunological analysis for HLA-DP5 and HLA-DR53 related diseases.
Project Area | HLA polymorphism, disease and evolution |
Project/Area Number |
22133009
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笹月 健彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別主幹教授 (50014121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 匡史 独立行政法人国立国際医療研究センター, 研究所, 室長 (00333790)
田中 芳彦 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (00398083)
岸川 禮子 独立行政法人国立病院機構福岡病院(臨床研究部), アレルギー科, 医長 (50450945)
森 晶夫 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 先端技術開発研究部, 部長 (80251247)
岡村 建 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (90150432)
吉開 泰信 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (90158402)
野田 光彦 独立行政法人国立国際医療研究センター, 糖尿病研究連携部, 部長 (90237850)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自己免疫性甲状腺炎 / スギ花粉症 / HLA |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画研究は、HLA-DPB1*05:01と強い相関を示すスギ花粉症、グレーブス病、橋本病を対象としてそれぞれの疾病において第一義的に原因となるHLA分子の同定、その原因HLA分子と結合して疾患を発症させる原因ペプチドの同定、原因HLA・ペプチド複合体の構造の解明、それに準拠したHLA・ペプチド複合体形成を阻害する低分子化合物の同定により、これら三疾病の病因の解明とHLA・ペプチド複合体をターゲットとした治療法開発への道を招くことを目的とする。平成24年度までの研究実績を以下に挙げる。 ・スギ花粉症においてはHLA-DP5と結合するCriJ-1コアペプチドをすでに同定したので、この複合体の構造をA02横山らとの共同研究により解明した。 ・グレーブス病は、HLA-DPB1*05:01が第一の責任HLAであること、HLA-DQB1*03:02が第二の責任HLAであること、HLA-DR14:03とDPB1*05:01はグレーブス病に特異的な感受性アレルであること、さらにHLAはHLA-DRB1*13:02、DRB1*15:02、B*07:02が発症を防御することを明らかにした。さらにこれら感受性遺伝子と抵抗性遺伝子のエピスティック(上下関係)の解析から、抵抗性アレルであるDRB1*13:02、DRB1*15:02が感受性アレルであるDPB1*05:01に対して上位であることを明らかにした。このことに準拠して分子細胞レベルで免疫応答と免疫制御機構の解析をスタートした。 ・スギ花粉症、グレーブス病、橋本病患者のアレルゲンに対するIgE抗体、甲状腺ホルモン、甲状腺関連自己抗体の定量値、臨床情報、HLA6座のアリルのタイプを全てそろえた患者情報データベースを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中間評価において、A02横山グループと連携して進めているスギ花粉症病因ペプチド・HLA-DP5分子複合体の高次構造解析について「抗原由来のペプチドと HLA 分子との複合体の結晶構造が決定され、大きく進展している」と評価された。この結果の詳細な考察と結論から、HLAクラスIとクラスIIの構造の差の意味、さらに自己ペプチドと外来ペプチドとの結合の差などに関する考えが導かれる可能性があり、疾病を越えて、免疫学、進化学に新しい光を当てることに繋がる。 また、これまでグレーブス病と橋本病を区別する遺伝背景は不明であったが、本研究によりHLA-DR14:03とDPB1*05:01がグレーブス病に特異的な感受性アレルであることが解明された。 さらにグレーブス病において抵抗性HLAアレルが感受性HLAアレルの上位に位置することを明らかにし、グレーブス病発症に関するHLAを介した免疫制御機構解明とそれに基づく疾患制御への道を拓いた。
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Strategy for Future Research Activity |
グレーブス病、橋本病、スギ花粉症の免疫遺伝学的病因、分子細胞免疫学的機序を解明し、上記疾患の予防、治療、急性増悪の阻止に資する分子創薬への道を拓くために以下のの研究を推進する。 (1)質の高い臨床情報が付与された、グレーブス病500人、橋本病500人、スギ花粉症200人は既に収集したので、各疾患それぞれ1000人、1000人、500人を目標とした臨床データベースを構築する。(2)橋本病の病因および抵抗性HLA遺伝子を同定し、その相互作用を解明する。(3)HLA-DP5およびDR53とCriJ-1ペプチドの結合を阻止し、免疫応答をin vitroおよびin vivoで特異的に阻害する低分子化合物を同定する(A02横山との共同研究)。(4)グレーブス病、橋本病の病因HLAと結合する病因ペプチドを解明する。(5)それぞれの病因HLAとそれぞれの病因ペプチド複合体の高次構造を解明し(A02横山との共同研究)、スギ花粉症と同じく結合および免対応答を阻止する低分子化合物を同定する。(6)上記全ての情報を統合したHLA統合データベースに登録する(A01今西との共同研究)。
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Research Products
(7 results)