2012 Fiscal Year Annual Research Report
Immunogenetic factor responsible to GvH reaction and/or GvL reaction.
Project Area | HLA polymorphism, disease and evolution |
Project/Area Number |
22133011
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
森島 泰雄 愛知県がんセンター(研究所), 疫学・予防部, 研究員 (20220056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森島 聡子 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (40463195)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 造血幹細胞移植 / HLA / GVHD |
Outline of Annual Research Achievements |
多様な細菌・ウイルスなどの外的要因により選択・獲得されてきたHLAの高度な多型性は、他人の細胞を患者に移入するという人工的な医療行為である造血幹細胞移植において、生着したドナー由来の免疫担当細胞が惹起する重症移植片対宿主病(GVHD)の克服と移植片対白血病反応(GVL)の誘導最重要課題になっている。HLAと連鎖し、特定のHLAアレルと強い連鎖不平衡を保っているHLA領域の非HLA遺伝子がこの要因と考えられ、本研究では、よく整備された非血縁者間骨髄移植ペアーの試料を用い、GVHとGVLの差を決定するHLAと連鎖不平衡にある非HLA遺伝子を最新のゲノム科学と免疫遺伝学的手法を用いて明らかにすることを目的としている。 平成24年度までに、日本人に固有なHLAハプロタイプそのものがGVHの発症に関与していることを明らかにした。日本骨髄バンクを介して実施された非血縁者間骨髄移植ドナーと患者(1800ペアー、3600個人)のHLA領域(6番染色体短腕のテロメア側から25-34Mb)のmulti-SNPs(約1500)とHLA-A, B, C, DRB1, DQB1, DPB1アリルのデータを用いて、日本人の主要HLAハプロタイプ40種類のSNPコンセンサスシークエンスを同定した。 これらデータを用い、日本人間ではHLA-A~DQB1適合非血縁移植では90%以上と高率にHLAハプロタイプが適合しており、かつHLAアリル完全適合でHLAハプロタイプ不適合症例でも急性GVHDの発症頻度の差は認められないことが判明した。また、HLA領域内にあるTNF-1031の多型の急性GVHDへの関与、HLA領域外のCTLA4多型と急性GVHDへの関与、IL2-330の多型と慢性GVHDへの関与を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が目標としている3つの主要研究課題の進捗状況を以下に示すが、研究はいずれも順調に進んでいる。。 1.Multi-SNPによる日本人HLA領域の保存性:日本骨髄バンクを介して実施された非血縁者間骨髄移植ドナーと患者(1800ペアー、3600個人)のHLA領域(6番染色体短腕のテロメア側から25-34Mb)のmulti-SNPs(約1500)とHLA-A, B, C, DRB1, DQB1, DPB1アリルのデータを用いて、520種類のHLAハプロタイプとそのmulti-SNPシークエンスを同定することができた。日本人の主要HLAハプロタイプ40種類のSNPコンセンサスシークエンスを用いて、HLAハプロタイプ内の連鎖不平衡(LD)ブロックとHLAハプロタイプ間で共有しているブロックを同定することが可能になった。 2.急性GVHDと移植片対白血病反応(GVL)に関与する責任遺伝子の同定:ドナーと患者のDNAを用いてPCR-SBT 法によりHLA領域とnon-HLA領域における移植免疫反応への関与が示唆される41のSNPを解析し、HLA領域内にあるTNF-1031の多型の急性GVHDへの関与、HLA領域外のCTLA4多型と急性GVHDへの関与、IL2-330の多型と慢性GVHDへの関与を明らかにすることができた。 3.非血縁者間骨髄移植におけるHLAハプロタイプ適合性の解析:上記で同定されたHLAハプロタイプのSNPコンセンサス配列情報を用いることにより非血縁者間移植のHLAハプロタイプ適合の有無を1593症例で解析した。その結果、日本人間ではHLA-A~DQB1適合移植では90%以上と高率にHLAハプロタイプが適合しており、かつHLAアリル完全適合でHLAハプロタイプ不適合症例でも急性GVHDの発症頻度の差は認められないことが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)日本人におけるHLA領域の保存性の解析:日本骨髄バンクを介して得られたドナーと患者の全ゲノム関連解析(GWAS)を1500ペアー(HLA不適合移植を含む)のHLA領域(6番染色体短腕のテロメア側から25-34Mb)の約1500のSNPアリルとHLA型を同定して、以下の手順により、HLA領域の保存性を引き続いて解析する。(1)日本人の主要HLAハプロタイプ約50種類のSNPコンセンサスシークエンスを決定する。(2)HLAが関与する連鎖不平衡(LD)ブロックをHLA抗原別に同定する。とくにHLA-DPB1抗原が関与するLDブロックに焦点を合わせる。(3)HLA領域内の非HLA遺伝子の遺伝子領域の連鎖不平衡(LD)ブロックをHLA領域のテロメア側とセントロメア側に進展して同定する。(4)上記HLAハプロタイプ、LDブロックに特有なSNPを同定する。(5)日本人以外の人種のHLA領域の保存性と比較する. 2)GVHと移植片対白血病反応(GVL)に関与する非HLA責任遺伝子の同定 均一なGVH予防法のHLAアリル適合白血病患者での非血縁骨髄移植800ペアーの検体を用いて、免疫に関与する非HLA遺伝子の遺伝子配列とその多型を明らかにし、移植免疫反応(GVH, 拒絶反応、GVL)との関連を解析することにより、非HLA責任遺伝子とそのアリルを同定する。 さらに、1)で同定されたLDブロックとの関連に焦点をあてる。 3)大規模移植群を用いての検証 上記2)により同定された遺伝子アリル情報に基づき、大量検体解析法により、以下の移植群を用いて検証する。(1) さい帯血移植、(2) 国際共同研究による他人種非血縁移植
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