2013 Fiscal Year Annual Research Report
GvH反応とGvL反応の差を決定するHLA遺伝子及び非HLA遺伝子の解明
Project Area | HLA polymorphism, disease and evolution |
Project/Area Number |
22133011
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Research Institution | 愛知県がんセンター(研究所) |
Principal Investigator |
森島 泰雄 愛知県がんセンター(研究所), 疫学・予防部, 研究員 (20220056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森島 聡子 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (40463195)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | 造血幹細胞移植 / HLA / GVHD |
Research Abstract |
多様な細菌・ウイルスなどの外的要因により選択・獲得されてきたHLAの高度な多型性は、他人の細胞を患者に移入するという人工的な医療行為である造血幹細胞移植において、生着したドナー由来の免疫担当細胞が惹起する重症移植片対宿主病(GVHD)と移植片対白血病反応(GVL)の誘導に深く関わっている。HLAと連鎖し、特定のHLAアレルと強い連鎖不平衡を保っているHLA領域の非HLA遺伝子がこの要因と考えられ、本研究では、よく整備された非血縁者間骨髄移植ペアーの試料を用い、GVHとGVLの差を決定するHLAと連鎖不平衡にある非HLA遺伝子を最新のゲノム科学と免疫遺伝学的手法を用いて明らかにすることを目的としている。平成24年度までに、日本人の主要なHLAハプロタイプそのものがGVHの発症に関与していることを明らかにした。日本骨髄バンクを介して実施された非血縁者間骨髄移植ドナーと患者(1800ペアー、3600個人)のHLA領域(6番染色体短腕のテロメア側から25-34Mb)のmulti-SNPs(約1500)とHLA-A, B, C, DRB1, DQB1, DPB1アリルのデータを用いて、日本人の主要HLAハプロタイプHLA-A~DQB1までの40種類のSNPコンセンサスシークエンスを同定し、平成25年度には各HLAハプロタイプのLDブロックの組み合わせと共有LDブロックを明らかにした。さらに、非血縁者間骨髄移植6967症例の解析で3つのHLAアリル型とその関連するHLAハプロタイプそのものが急性GVHDの発症に関与していることを明らかにすることができた。これらHLAアリルは自己免疫疾患における関連HLA型でも見出されており、GVHDとGVLの発症機序の解明にための新たな知見を得ることができた。現在SNP多型と上記HLA領域のハプロタイプLDブロックを組み合わせることにより、その責任遺伝子に迫ろうとしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が目標としている主要研究課題の進捗状況を以下に示すが、研究はいずれも順調に進んでいる。 1.Multi-SNPによる日本人HLA領域の保存性:日本骨髄バンクを介して実施された非血縁者間骨髄移植ドナーと患者(1800ペアー、3600個人)のHLA領域(6番染色体短腕のテロメア側から25-34Mb)のmulti-SNPs(約1500)とHLA-A, B, C, DRB1, DQB1, DPB1アリルのデータを用いて、HLA-A~DQB1までのHLAハプロタイプ520種類とそのmulti-SNPシークエンスに基づき、日本人の主要HLAハプロタイプ40種類のSNPコンセンサスシークエンスを用いて、HLAハプロタイプ内の連鎖不平衡(LD)ブロックとHLAハプロタイプ間で共有しているブロックを明らかにするとともに、HLAクラスII領域におけるHLAハプロタイプLDブロックにつきその詳細を解析している。 2.非血縁者間骨髄移植6967症例の解析で3つのHLAアリル型とその関連するHLAハプロタイプそのものが急性GVHDの発症に関与していることを明らかにすることができた。これらHLAアリル・ハプロタイプは日本人で2番目に頻度が高いHP-P2、HLA-B*51:01関連、HLA-DPB1*04:02関連で、自己免疫疾患における関連HLA型でも見出されており、現在SNP多型と上記HLA領域のハプロタイプLDブロックを組み合わせることにより、その責任遺伝子に迫ろうとしている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)日本人におけるHLA領域の保存性の解析:日本骨髄バンクを介して得られたドナーと患者の全ゲノム関連解析(GWAS)を1500ペアー(HLA不適合移植を含む)のHLA領域(6番染色体短腕のテロメア側から25-34Mb)の約1500のSNPアリルとHLA型を同定して、以下の手順により、HLA領域の保存性を引き続いて解析する。(1)日本人の主要HLAハプロタイプ約50種類のSNPコンセンサスシークエンスを決定する。(2)HLAが関与する連鎖不平衡(LD)ブロックをHLA抗原別に同定する。とくにHLA-DPB1抗原が関与するLDブロックとHLAクラスIII領域が関与するLDブロックに焦点を合わせる。(3)HLA領域内の非HLA遺伝子の遺伝子領域の連鎖不平衡(LD)ブロックをHLA領域のテロメア側とセントロメア側に進展して同定する。(4)上記HLAハプロタイプ、LDブロックに特有なtag-SNPを同定する。(5)日本人以外の人種のHLA領域の保存性と比較する. 2)GVHと移植片対白血病反応(GVL)に関与する非HLA責任遺伝子の同定 非血縁者間骨髄移植6967症例の解析でHLAアリル型とその関連するHLAハプロタイプそのものが急性GVHDの発症に関与していることが見出されたHLA-B*51:01、HLA-DPB1*04:02とその関連ハプロタイプLDブロックに焦点を絞り、可能性がある遺伝子のSNPs解析を行い、シークエンスの同定を予定する。 3)大規模移植群を用いての検証 上記2)により同定された遺伝子アリル情報に基づき、大量検体解析法により、以下の移植群を用いて検証する。(1) 非血縁者間移植群(validation)(2)さい帯血移植 (3) 国際共同研究による他人種非血縁移植
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[Presentation] Impact of HLA allele and haplotype on acute graft-versus-host disease and survival in hematopoietic stem cell transplantation from unrelated donor.
Author(s)
1Morishima S, Kashiwase K, Azuma F, Yabe T, Sato-Otsubo A, Ogawa S, Shiina T, Satake M, Hiroo S, Kato S, Kodera Y, Sasazuki T, Morishima Y.
Organizer
55th Annual Meeting of American Society of Hematology
Place of Presentation
Ernest N. Memorial Convention Center (New Orleans, USA)
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[Presentation] HLA一致同朋間移植におけるHLA型およびHLAハプロタイプが急性GVHDに及ぼす影響
Author(s)
森島聡子, 松尾恵太郎, 小林武, 森毅彦, 鬼塚真仁, 日高道弘, 福田隆浩, 井上雅美, 田中淳司, 熱田由子, 神田善伸, 森島泰雄
Organizer
第36回日本造血細胞移植学会総会
Place of Presentation
沖縄コンベンションセンター(宜野湾市)