2011 Fiscal Year Annual Research Report
HLA分子を標的としたin silico医薬分子探索
Project Area | HLA polymorphism, disease and evolution |
Project/Area Number |
22133012
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
平山 令明 東海大学, 医学部, 教授 (70238393)
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Keywords | in silico創薬 / HLA / 分子認識 / ドッキング / QSAR / ホモロジー・モデリング |
Research Abstract |
(1)HLAクラスIIの機能制御分子のin silico探索 昨年度にホモロジー・モデリング法で構築したDP5およびDR53の立体構造を基に、抗原ペプチド結合部位に結合する可能性の高い低分子化合物をin silico探索した。探索は2段階で行った。まずalpha site filter法により、結合部位への結合性が特に高いと予想される約2000化合物を約500万化合物からなる化合物ライブラリから選択した。次に、選択した化合物と各HLA分子との結合性をASEDock法で解析した。 DP5との高い結合性が推定された数種の化合物はビリルビンと非常に類似した化学構造を有し、ビリルビン自身とDP5とのドッキング計算はビリルビンのDP5に対する高い結合性を示唆した。この段階で文献調査を行った所、この数年間に多発性硬化症、間接リューマチおよび全身性エリテマトーデスの発症がビリルビンの血中濃度と有意に相関することを示す論文が発表されていた。そこで、これらのHLAとビリルビンとの結合性もドッキング法で解析した。いずれの系でも比較的高い結合性が予測され、ビリルビンが非特異的にHLAクラスIIの作用を抑制する可能性が示唆された。 DR53への結合性の高い分子のin silico探索も同様の手続きで行なっており、現在までに約2/3の計算が終了している。 (2)ドッキング法の改良 結合部位にあるアミノ酸側鎖の解離状態は結合する低分子の種類や位置により変化する。今年度は結合する低分子の種類や位置により動的にアミノ酸側鎖の解離状態を変化させながらドッキング計算を行うことのできるin situ protonate 3D (in situ P3D)法を開発した。計算時間は大幅に増加するが、in situ P3D法を使用することでドッキング精度の向上が見られた。DR53のドッキング計算に目下応用している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題には、大きく分けて二つの目的がある。HLA分子を標的としたin silico創薬を行う上で必要な方法論の研究およびそれを応用した具体的なin silico探索研究である。前者に関しては、今年度はドッキング計算精度を向上させる方法論の開発を行った。後者に関しては、DP5の制御分子候補をin silico探索し、それらの化学構造を共同研究者に開示し、具体的な評価実験を開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策は次のようである。第1は、HLA分子構築に特化したホモロジー・モデリング法の手続きのソフトウェア化である。増加している立体構造情報をより効率的にかつ広汎に活用するためにこの研究は有用と思われる。第2は、HLA立体構造に基づく、抗原ペプチドの構造予測法の開発である。これに関しては、世界的にも幾つかの研究例が知られているが、我々独自の正確かつ効率的な方法の開発を目指して研究を行う予定である。第3は、具体的なHLA分子の低分子制御分子のin silico探索である。本年度に引き続きDR53に対して探索すると共に、DPB1*050101、DPB1*040101、DRB1*1501、B*5201、B*5101およびDQB1*0602等も標的分子とした解析を行う予定である。第4は、HLA分子との強い相関が指摘されている医薬分子の副作用の分子メカニズム解明を目的とする研究である。具体的には副作用の指摘されている医薬分子の代謝産物の化学構造予測及びそれらの分子とHLA分子との相互作用解析である。
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Research Products
(3 results)