2011 Fiscal Year Annual Research Report
SNPアレイ解析に基づく癌の個性の理解と分子標的の探索
Project Area | Integrative Systems Understanding of Cancer for Advanced Diagnosis, Therapy and Prevention |
Project/Area Number |
22134006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 誠司 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60292900)
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Keywords | ATL / miR31 / SNPアレイ / MDS / RNAスプライシング / SF3B1 / クロマチン制御 / 腎細胞癌 |
Research Abstract |
1)マイクロアレイを用いたATLの新規分子メカニズムの解明 ATLのmiRNA発現アレイの解析およびSNPアレイの解析により、ATLではmiR31が発現低下を来たし、これによってエピゲノム制御の異常が生じていることを明らかにした(Yamagishi et al.,Cancer Cell,2012)。 2)骨髄異形成症候群(MDS)の全ゲノムシーケンスによる新規標的pathwayの同定 MDSおよび関連疾患29例の全エクソン解析により、U2AF1,SRSF2,SF3B1,ZRSR2を含む計8個のRNAスプライシングに関わる主要な因子がMDSおよび関連疾患(CMMLおよび二次性白血病)で高頻度(45%~85%)かつ特異的に遺伝子変異を生じていることが明らかとなった。とくにSF3B1は鉄芽球性貧血において76%~82%という高い頻度で変異がみとめられ、実質的な本症の原因遺伝子であることが明らかとなった。上記の変異はおおむね違いに排他的に生じていることから、これらの変異の共通の機能的標的がRNAスプライシングであることが示唆された。また、U2AF1、SF3B1およびSRSF2遺伝子については、変異が特定のアミノ酸に集積していること、ナンセンス変異、読み枠変異などの変異が全く認められないことから、これらの変異は単純な機能喪失変異ではなく、機能獲得変異であることが強くしさされた(Yoshida et al.,Nature,2011)。 3)近年の報告および我々が行った全エクソン解析の結果から、腎細胞癌においてクロマチン制御に関わる多数の遺伝子変異が同定された。そこで、これらのクロマチン制御遺伝子についてBarCodeシーケンスを用いた約300例の腎癌の解析を行った結果、PBRM1,BAP1,SETD2をはじめとする一群のクロマチン制御に関わる遺伝子が遺伝子で高頻度に変異を来すこと、またこれらのうち、BAP1変異については腎癌の無再発生存および癌関連死亡と有意な相関を示す予後因子となっていることを明らかにした(投稿準備中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
マイクロアレイ解析、全エクソンシーケンス解析により、成人T細胞性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)、腎細胞癌など複数のがんにおいて、従来知られていなかった新規遺伝子変異・異常の同定に成功した。特にMDSにおいて同定されたRNAスプライシング装置に関わる新規pathway変異の発見は、RNAスプライシングに関わる遺伝子の後天的な変異が発がんに関わることを明らかにした画期的な発見として世界的に高い評価を受けている。
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Strategy for Future Research Activity |
がんの網羅的なシーケンスによる国際的な変異解析の作業によって、これまでに主要な癌腫に関わる遺伝子変異の全貌があきらかになりつつある。一方、がんには遺伝子変異の観点から遺伝的な多様性が初診時から認められ、これらと再発の関連が示唆されている。今後の分野の研究では、こうした癌の再発・治療抵抗性と関連するクローンの進化と多様性の解明が重要な課題となると予測される。そこで、本研究の後半については、これらの問題に焦点をあて、腫瘍内多様性と経時的なクローン進化の問題を、全ゲノム解析と超高深度シーケンス、および単一細胞(ないし単一クローン)の全エクソン解析によって解析し、再発や治療抵抗性を遺伝的多様性の視点から解明することを試みる予定である。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Watanabe T.Polycomb-Mediated Loss of miR-31 Activates NIK-Dependent NF-kappaB Pathway in Adult T Cell Leukemia and Other Cancers2012
Author(s)
Yamagishi M, Nakano K, Miyake A, Yamochi T, Kagami Y, Tsutsumi A, Matsuda Y, Sato-Otsubo A, Muto S, Utsunomiya A, Yamaguchi K, Uchimaru K, Ogawa S
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Journal Title
Cancer cell
Volume: 21
Pages: 121-135
Peer Reviewed
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[Journal Article] Harris CC, Tsuda H, Yoshida T, Yokota J, Shibata T.KIF5B-RET fusions in lung adenocarcinoma2012
Author(s)
Kohno T, Ichikawa H, Totoki Y, Yasuda K, Hiramoto, M, Nammo T, Sakamoto H, Tsuta K, Furuta K, Shimada Y, Iwakawa R, Ogiwara H, Oike T, Enari M, Schetter AJ, Okayama H, Haugen A, Skaug V, Chiku S, Yamanaka I, Arai Y, Watanabe SI, Sekine I, Ogawa S
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Journal Title
Nat Med
Volume: 18(3)
Pages: 375-377
Peer Reviewed
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[Journal Article] Aberrant activation of ALK kinase by a novel truncated form ALK protein in neuroblastoma2011
Author(s)
Okubo J, Takita J, Chen Y, Oki K, Nishimura R, Kato M, Sanada M, Hiwatari M, Hayashi Y, Igarashi T, Ogawa S
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Journal Title
Peer Reviewed
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[Journal Article] Frequent pathway mutations of splicing machinery in myelodysplasia2011
Author(s)
Yoshida K, Sanada M, Shiraishi Y, Nowak D, Nagata Y, Yamamoto R, Sato Y, Sato-Otsubo A, Kon A, Nagasaki M, Chalkidis G, Suzuki Y, Shiosaka M, Kawahata R, Yamaguchi T, Otsu M, Obara N, Sakata-Yanagimoto M, Ishiyama K, Mori H, Nolte F, Hofmann WK, Miyawaki S, Sugano S, Haferlach C, Koeffler HP, Shih LY, Haferlach T, Chiba S, Nakauchi H, Miyaho S, Ogawa S
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Journal Title
Nature
Volume: 478
Pages: 64-69
Peer Reviewed
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