2010 Fiscal Year Annual Research Report
メタボローム解析に基づくがんの代謝の理解、診断法の開発
Project Area | Integrative Systems Understanding of Cancer for Advanced Diagnosis, Therapy and Prevention |
Project/Area Number |
22134007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
曽我 朋義 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (60338217)
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Keywords | 癌 / 生体分子 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
本年度は、がんの代謝やその調節因子に関わる複雑なネットワークを解析するために必要な、メタボローム測定法の高感度化およびデータ処理技術の開発を行った。また並行して腎臓がんの組織のメタボローム解析を行った。 1. メタボローム解析技術の高感度化 CE-MS法では、水の電気分解が起こり水素ガスと酸素ガスが発生する。ガスを溶解するためにシース液方式が用いられているが検出成分が検出されるため感度が低下する。本研究では、ガスをMSに送らない方式のシースレスCE-MS法の検討を行った。この方法は、シースフロー方式と比べて、再現性に難があるものの、アミノ酸で2~5倍、還元型グルタチオンで約25倍感度が向上した。また、従来のシースフロー方式においても、CEを三連四重極質量分析計への接続を行い、数~十倍程度の高感度化が可能であることを確認した。 2. メタボロームデータ処理の迅速化 これまで開発してきたメタボロームデータ解析ソフトKeio MasterHandsに解析フローをプログラム化できる機能を開発し、新機能の開発と試験を効率よくできる環境を整えた。更に、データの変換から始まり、解析や可視化まですべて自動的に行い、ノイズの除去や複数データ間の整合性など、ユーザのデータ精査の作業の大部分をプログラム化し、データ測定後の解析のスループットを大幅に向上させることができた。 3. がんおよび正常組織、培養細胞のメタボローム測定 腎臓のがん組織と正常組織のメタボローム測定を行い、エネルギーの産生に関わる経路の代謝中間体の濃度を網羅的に測定した。がん組織では解糖系の前半部、ペントースリン酸経路、グルタチオン生合成経路の代謝物質の蓄積が見られた。がん細胞はエネルギー以外にも、増殖するために必要な核酸や酸化ストレスに対応する物質を生合成していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)