2012 Fiscal Year Annual Research Report
Environmental and learning aspects in Shitsukan perception
Project Area | Integrative studies of neural mechanisms and advanced information technologies for perception of material and surface qualities |
Project/Area Number |
22135005
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
中内 茂樹 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00252320)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北崎 充晃 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90292739)
永井 岳大 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40549036)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 質感 / 光沢 / 材質識別 / 心理物理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
観察者による能動運動と質感知覚の関係について、物体を手で動かしたときに生じる整合的な網膜像運動が光沢感に及ぼす影響を調べた。表面に凹凸のある球のCG画像を作成し、鏡面反射率を5水準設定した。球が鉛直軸周りに回転する条件と静止したままの条件を網膜像運動条件として設定した。手操作条件として、実物体の球を手で動かす条件と手静止条件を設定した。手操作かつ網膜像が運動する条件では、手操作と視覚刺激の運動は整合させた。被験者は、4 秒の観察の後、光沢感を評定した。その結果、鏡面反射率と光沢感は正しく相関し、網膜像運動は光沢感を上昇させた。しかし、手操作は光沢感に影響しなかった。これらの結果から、能動的な手操作は、光沢感の認知にはほとんど効果がないことが示唆された。
材質識別について、刺激呈示時間に着目した検討を行った。呈示時間が短い(~100 ms程度)場合、呈示時間の増加とともに様々な質感特徴(光沢感、ざらざら感、重軽感など)判断や材質識別精度が向上した。質感特徴判断と材質識別精度の関連性は、光沢感やざらざら感においては材質識別精度との相関が呈示時間の増加とともに向上する一方で、重軽感は呈示時間によらず相関がほぼ0であった。この時間特性は質感特徴間の処理機序の違いを強く反映していると考えられる。
光沢感知覚について順応効果を用いた検討を二つ行った。光沢感を有しないが鏡面反射成分に類似した空間周波数成分を持った順応刺激に順応すると、その後呈示される刺激の光沢感が低下することを見いだした。また、拡散反射成分と鏡面反射成分を別々に彩色した順応刺激に順応すると、その後呈示される拡散反射成分のみの画像と鏡面反射成分のみの画像に対し異なる色残効が得られることが分かった。この結果は、視覚系が鏡面反射成分と拡散反射成分を分離処理していることを強く示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、観察者能動運動と質感知覚の関係、材質カテゴリー弁別、光沢感に関わる画像成分などに着目して質感認知特性の検討を進めており、現在までに(1) 能動的視覚と光沢知覚との関係、(2) 材質識別のダイナミクスと質感特徴、(3) 半透明感と画像特徴の関係、(4) 熟練者と非熟練者の質感認知の比較、 (5) 熟練者による真珠質感認知、に関して成果が得られていることから、おおむね計画通り順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初計画通りに進んでおり、大きな問題点は生じていない。より研究を加速し、質感認知における熟練の効果についてより一般的な議論を展開するために、熟練者を対象とした質感実験として、当初計画していた真珠鑑定士による真珠品質評価実験に加え、画家および美術系大学の学生を対象とした視覚的な表面属性推定(明るさ、光沢)実験を追加し、共通リソースであるモバイル・ラボを最大限活用する。この新規計画については、平成24年度に素人を対象とした実験を開始しており、その結果と熟練者データの比較を実施する。
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Research Products
(18 results)