2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Integrative studies of neural mechanisms and advanced information technologies for perception of material and surface qualities |
Project/Area Number |
22135006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大澤 五住 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (20324824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 耕太 大阪大学, 生命機能研究科, 特任助教 (40467501)
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Keywords | 一次視覚野 / 初期視覚野 / 受容野 / 光沢感 / テクスチャー / 両眼視 / 立体視 |
Research Abstract |
自然物体が持つ複雑な刺激形状に関する情報と光沢等の質感の初期脳における情報表現を調べるため、極限まで単純化した質感刺激と解析法の開発を中心に研究を実施した。光沢感に密接に関係するハイライトの形状や、さらには複雑な輝度分布に対する視覚野細胞の反応を、物体形状の違いに対する反応とを区別して研究するための一手法として、2次元ダイナミックランダムドット刺激に含まれる特定の輝度分布に対する反応を調べる新手法を開発した。この方法では刺激に含まれる複数の周波数成分の位相関係に着目し、位相の組み合わせに対する反応をしらみつぶしにマップ化する。このマップの形状から、輝度分布特異的な反応があるかどうかを調べることができる。ネコ一次視覚野の細胞について、この刺激により実験を行ったところ、この領野の細胞では複数周波数成分の組み合わせに関して、特殊な処理は行われておらず、従来のGabor型線形受容野モデルで充分説明可能な反応であることがわかった。この手法をネコ/サルにおいて、さらに高次の視覚領野の反応について、今後調べるための準備を行っている。別の実験では、テクスチャーの強弱からなる境界で定義される高次受容野の形を、逆相関法によって計測する実験を、佐々木を中心に両眼について同時計測するシステムを開発し、計測実験を行った。左右のテクスチャー受容野の形状データがえられつつある。また、フェーディング錯視の電気生理学的反映と思われる現象を一次視覚野の細胞で発見し、その空間・時間特性についての実験を行った。さらに、フェーディング錯視がヒトの知覚について持つ役割に関して、高い輝度のダイナミックレンジを実現するための機構の観点から心理物理実験を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、初期視覚野細胞において、新たな解析手法等を開発しながら、実験データも着実に得られており、高次視覚野細胞の特性解析への準備も順調に進行中である。また、密接に関連した心理物理学的実験も電気生理学実験とともに開始しており、新たな方向性も合わせて採用した。
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Strategy for Future Research Activity |
高次視覚野や多岐にわたり、一研究室では限られた時間内に全ての視覚領野の性質を調べる事は難しい。このため、霊長類の視覚系の電気生理学的研究を行っている研究室との連携で、研究を進展させていきたい。
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