2012 Fiscal Year Annual Research Report
Parallel Simulation System for Description Language based Organ Model using Detailed Cell Model
Project Area | Establishment of Integrative Multi-level Systems Biology and its Applications |
Project/Area Number |
22136004
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
天野 晃 立命館大学, 生命科学部, 教授 (60252491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋吉 隆夫 (財)京都高度技術研究所, 研究部, 副主任研究員 (60373510)
国枝 義敏 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (90153311)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生体生命情報学 / 細胞モデル / モデル記述言語 / 心臓モデル / 自動並列化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成24年度は、臓器モデルに関するシミュレーションプログラムの自動生成に関して,昨年度実現した逐次実行プログラム自動生成システムを元に,研究室等における実際的な計算環境であるクラスタ型PCで用いられるMPI並列コードを自動生成するシステムの基礎的な開発を行った.具体的には,臓器モデルの記述として,細胞等の組織に関する分布定数モデルに対して,空間分布の情報を直交格子空間の情報として与え,さらに,空間的な境界条件を同様に格子空間上の情報として与えることで,まず全空間点に対する離散化数式の集合を得る.具体的には,分布定数モデルにおける空間分布を持つ変数に対して,必要な添え字,たとえば3次元空間を対象とする場合は,x, y, z の3つの添え字を割り当てる.さらに,モデル式に出現する,時間,空間方向の微係数について,適用する様々な離散化スキームに応じて離散化式で展開を行う.この際,陽的な離散化スキームを用いれば,得られる数式集合は陽的に解くことができ,また Crank Nicolson 等のよく利用される陰的スキームを用いれば,得られる数式集合は陰的に解く必要がある集合となる.得られた離散化数式集合に対して,依存関係解析を行うことで,必要な計算順序,および陰的に計算を行う必要がある部分を抽出し,この結果を用いて,空間方向に対応する変数の各添え字方向に,プログラムのループ構造として計算が可能かどうか,数式の集合から共通数式集合を括りだす処理を行う.この結果,各空間方向に対して,数式を計算する単一,あるいは複数のプログラムループ構造が生成される.現在の実装では,臓器の空間情報に対して,手動で空間の分割方法を与えることで,それぞれの分割領域に対してMPIによる並列計算を行う並列プログラムの生成を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在に到るまで,臓器レベルの空間分布を扱うモデルの記述に関する研究は非常に遅れており,有効な記述系は提案されていない状況である.これは,計算力学分野における計算スキームが高度に複雑化しているのに対して,その計算手法を形式的に記述することが難しくなっていることが大きな要因である.本研究では,まず,基本的な計算手法から形式的記述による対応を検討しているため,現実的に有効な手法が実現できたといえる.しかしながら,特に並列化などに関しては,やはり自動的な処理は難しく,人手により実現した並列プログラムに対してかなり低速なプログラムとなっている.プログラムの実現に要する時間を考慮すれば十分有効性は高いと考えるが,実用的に高速化アルゴリズムを検討していく点に関しては,やや想定より進捗が遅れているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
提案方式では,自動的に並列実行可能なプログラムが生成できるという意味で,世界的にもおそらく初のシステムであるが,生成されたプログラムの実行効率という点では,人手によって構築したプログラムに対し,かなり効率が低い.プログラム開発時間を考慮すれば,実用的には有益であるが,さらなる実行効率の向上を目指す必要がある.そこで,今後の方針として,実行効率を上げるための空間分割の自動最適化,さらに,分割による通信量を削減,あるいは隠ぺいする計算方式の導入を行う.また,実用的には,臓器形状に対応する格子点数が増加すると,計算機メモリが不足してシステムで扱えなくなるという問題がある.この点に関しても,効率的なデータ表現方式を検討し,対象モデルの計算規模の向上を目指す.
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Research Products
(14 results)