2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞モデルに基づく臓器モデル記述系と並列実行系に関する研究
Project Area | Establishment of Integrative Multi-level Systems Biology and its Applications |
Project/Area Number |
22136004
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
天野 晃 立命館大学, 生命科学部, 教授 (60252491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋吉 隆夫 京都大学, 情報学研究科, 助教 (60373510)
国枝 義敏 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (90153311)
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Project Period (FY) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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Keywords | 生体生命情報学 / 細胞モデル / モデル記述言語 / 心臓モデル / 自動並列化 |
Research Abstract |
平成24年度までに構築したシステムは,生体機能モデルから,自動的に並列実行可能なプログラムが生成できるという意味で,世界的にもおそらく初のシステムであるが,生成されたプログラムの実行効率という点では,人手によって構築したプログラムに対し,かなり効率が低く,また偏微分方程式を対象とした多次元空間の扱いでは,計算スキームに制限があった.そこで,平成25年度は,自動生成されるプログラムの実行効率の向上を目指し,また偏微分方程式を対象とする場合にも,複雑な連成計算スキームを適用可能なアルゴリズムを開発した.具体的には,空間分割の自動最適化のための基盤技術を開発し,扱う問題に対して,適応的に空間分割を最適化可能なシステムを構築した.また,偏微分方程式系に対しても,様々なパラメータを用いた解析や評価を行うことが多いことから,多重ループで記述される複雑な連成計算スキームの再内側ループについて,偏微分方程式系を記述することができるシステムを実現した.このシステムにより,薬物の体内動態を計算し,薬物濃度の日内変動を計算する薬物動態モデルと,心臓において,不整脈トリガーが起こった際に,致死性不整脈の一種であるスパイラルウェーブが,どの程度の時間持続するかを網羅的に計算するシステムを自動的に生成することに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大規模な生体機能モデルを,本格的に扱おうとした場合,従来のシミュレーション技術では想定されていない様々な問題が生じることが明らかになっており,これらの問題を一つずつ解決していくというアプローチで,本研究は進んでいる.現在までに,複雑な連成計算スキームの記述と対応するプログラムの自動生成に関しては,全微分系システムはかなり完成度の高いものが実現できた.一方偏微分系システムに関しては,やや制限が存在する状況であったが,数学的に本質的な制限を除き有る程度解決できるシステムを実現できた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,今までに開発したシステムについて,特に非情報系研究者にも使いやすいシステムとなるように,インタフェースや公開方法の整備を重点的に行っていく.具体的には,まず,本システムの基本となる連成計算スキームのオーサリングツールを構築する.次に,連成計算スキームと,計算対象である細胞モデルの関係を記述するファイルである関係記述ファイルのオーサリングツールを構築する.このツールでは,どの変数を時間と共に変化する変数,あるいは時間によって変化しない定数とするか等の境界条件を設定できる.生成されたファイルを用いて,グラフィカルインタフェースのボタンにより,自動的に計算プログラムが生成され,さらに,自動的に計算を実行し,結果をグラフとして表示できるシステムとする.また,システムそのものに関しては,現時点では,並列計算プログラムの効率は改良の余地が多いので,より効率の良いプログラムを生成可能なシステムとなるように改良を行う.
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