2011 Fiscal Year Annual Research Report
臓器間協関で統合される生体システムによる小分子挙動制御の解析
Project Area | Establishment of Integrative Multi-level Systems Biology and its Applications |
Project/Area Number |
22136015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 洋史 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80206523)
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Keywords | 生理学 / 情報工学 / 生体分子 / 発現制御 / 薬剤反応性 / 薬物代謝酵素 / 薬物輸送担体 / 内因性小分子 |
Research Abstract |
本新学術領域「統合的多階層生体機能学領域の確立とその応用」では、「生命の多階層性」を踏まえ、高度な複雑系としての生体機能のシステムを、統合的に理解する新たな学術領域を世界に先駆けて創生することを目的としている。生体機能には多臓器間の相互作用によって発現するものが多く存在し、その一例として糖や脂質、ホルモンなどの小分子血中濃度のホメオスタシス維持が挙げられる。本A03項目では、生存に必須なこの生体高次機能に特に焦点を絞り、血流による連結を考慮した多臓器連関モデルからトップダウンに組織・細胞・分子階層へと、階層間を繋いで統合的モデルへと発展させるアプローチを用いて、全体像のシステム的理解を目指す。平成23年度は、特に消化管吸収にフォーカスして、消化管管腔内の物質拡散・消化管上皮細胞を経由した物質輸送・消化管上皮細胞内における物質変換などを考慮に入れた、拡張性の広い新規消化管モデルの構築を行った。その結果、従来のモデルでは議論の難しかった消化管細胞における代謝酵素の誘導なども含めた議論の可能となるモデルの構築に成功した。今後はA01にて構築されつつある、汎用コンピューティング・プラットフォームへのモデル実装を進める。また、内因性小分子としては脂溶性ビタミン、コレステロールなどに着目し、モデル構築の基礎となる実験系構築、データ取得を進めた。特に、脂溶性の高い薬物も含め、高脂溶性分子の体内動態を記述するためには、VLDL,LDL,HDLなどの脂質粒子の循環血中動態および組織移行性を考慮したモデルの構築が必須と考えられ、今後さらにデータの取得を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに、心機能に影響を与える複数の薬物に関して体内動態記述モデルを作成し、一部プラットフォームへの実装を確認した。また新規の消化管吸収記述モデルの構築に成功し、今後実測値を測定していく種々の速度論モデルを組み込む準備が整った。脂溶性物質の体内動態モデルを構築するための基礎的実験系も順調に構築が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに構築したいくつかの薬物分子の体内動態記述モデルに関してプラットフォーム実装を進め、A02で構築している心臓モデルとの連成計算が可能であることを確認する。また、前年度までの検討を継続し、体内動態モデル構築に必要な速度論パラメータの実測を進める。特に薬物体内動態の人種差および個体差を説明する要因として、代謝酵素の遺伝子多型の影響を正確に評価することを念頭に検討を行う。また、薬物代謝酵素・薬物輸送分子の発現量を制御している核内受容体ネットワークの解析を継続し、代謝酵素・輸送分子の発現量レベルでの変動を考慮して記述するモデルの確立を試みる。さらに公募班とも連携し、脂質・脂溶性ビタミン・無機イオンなどの内因性小分子の生体内挙動を記述できるモデルの構築を開始する。
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Research Products
(11 results)