2022 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis on biological function of neo-PTMs
Project Area | In-cell chemical network driven by neo-PTMs |
Project/Area Number |
22H05020
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
島津 忠広 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (10618771)
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Project Period (FY) |
2022-05-20 – 2025-03-31
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Keywords | neo-PTMs / 人工翻訳後修飾 / メチル化修飾 / SAM |
Outline of Annual Research Achievements |
生物はATP、SAM、アシルCoA等を、“天然の化学修飾試薬”として生体因子を化学的に修飾することで、生命機能調節に用いていることが知られている。ヒトを始めとした真核生物では、DNAメチル化修飾やヒストンの翻訳後修飾 (post-translational modifications; PTMs) はエピジェネティクス調節、疾患等に重要な役割を果たす。本研究課題では、人工的な翻訳後修飾、およびこれまで自然界であまり存在が知られていない翻訳後修飾について、その生理的意義を明らかにすることを目的とする。本年度はタンパク質のHis残基に起こるメチル化修飾について着目した研究を実施した。タンパク質標的基質の解析を行い、Hisメチル化酵素のノックアウトマウスがマウスで胎生致死になることや、さらにHisメチル化酵素活性が無い変異でも同様に耐性致死になったことから、マウスの発生においてHisメチル化酵素活性が必須の役割を持つことが分かった。 また、人工翻訳後修飾の研究では、非天然型SAMをエレクトロポレーションによって培養細胞に導入し、その後の細胞内挙動(半減期)を解析した。その結果、細胞へエレクトロポレーション後、24時間後までは導入した化合物が細胞内に残存することが分かった。導入後24時間後の細胞のヒストンH3K9レベルをウエスタンブロットで確認したところ、グローバルなヒストンメチル化レベルにはあまり違いがないように見えた。今後、ChIP-seq解析により、特定の遺伝子領域のヒストンH3K9メチル化に違いがないか、さらに詳細に調べることで、人工翻訳後修飾(neo-PTMs)が駆動するエピジェネティクス変化を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験計画どおり進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、人工翻訳後修飾によるエピジェネティクス変化に関する研究と、マウス個体におけるメチル化修飾の役割について研究を進める。 エピジェネティクス変化については、これまでの研究でin vitroでH3K9メチル化酵素であるG9A, GLP, SETDB1, SUV39H1のいずれもがSAMの違いにより活性が変化することを見出している。そこで、細胞内に非天然型SAMを導入してChIP-seq解析をすることで、ヒストンメチル化レベルが変化する領域を明らかにすることを目的とする。また、マウス個体におけるメチル化修飾解析については、以前に作出したコンディショナルKOマウスを用いることで、成体マウスでのHisメチル化酵素の役割を解析したい。
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