2022 Fiscal Year Annual Research Report
Rheology of Metallic Glasses: Computational Approach to Anankeon Kinetics
Project Area | Rheology of disordered materials: Establishing Anankeon dynamics |
Project/Area Number |
22H05041
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
椎原 良典 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90466855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Ivan Lobzenko 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 博士研究員 (30802293)
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Project Period (FY) |
2022-05-20 – 2025-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / 分子動力学法 / ニューラルネットワーク / 金属ガラス / アナンケオン / 塑性 / 機械学習 / 原子応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
アナンケオンを追跡する手段として,本研究では独自手法である機械学習分子動力学に基づく原子応力計算法を用いる.金属ガラスにおける局所的応力緩和を可視化することを通じて,以下の内容を実現する:(i) アナンケオンの起点と構造形態の解明,(ii) 応力緩和機序の解明,(iii) アナンケオンの相互作用と集団励起の機序の解明.本年度は,(1) 金属ガラスの高精度計算のための機械学習分子動力学ポテンシャルの開発,(2) 機械学習分子動力学ポテンシャルに基づく原子応力計算法の開発,(3) EAMポテンシャルによる金属ガラスせん断シミュレーションを通じたアナンケオンに関する基礎的研究,について研究を実施した.それぞれの項目について成果を述べる.
(1) 第一原理計算を実施し,CuZr金属ガラスについて学習データを収集した.学習データは,異なる原子配置を持つCuZrガラス数ケースに対する等膨張,単純引張,単純せん断等の変形を施したものの他,それらの構造に微量な原子攪乱を与えたものを含めて,計1万以上の構造からなる. (2) 機械学習ポテンシャルベースの原子応力計算法について更なる検討を実施した.原子応力テンソルの固有値である主応力を計算するために,中心力分解をその定式に導入した.アルミ表面等の原子系に適用して,合理的な原子応力分布,主応力分布が得られることを確認した. (3) 今後の比較のために,従来の原子間ポテンシャルであるEAM(Embedded Atom Method)を用いてCuZr金属ガラスでのせん断変形シミュレーションを実施し,そこでの軟化を確認した.軟化前後の構造についてNudged Elastic Band法を適用することでそれら構造間のエネルギーバリアを評価するとともに,そのひずみに対する変化を明らかとすることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の項目(1)について,ニューラルネットワークの損失関数にエネルギーのみを含めて学習を実施したが,せん断変形における軟化を高精度に表現するには至らなかった.一方で,項目(2)の達成に加えて,従来の計画に無かった項目(3)についても進展があったため,この評価とした.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度計画では,項目(1)の達成を主の目標とする.ニューラルネットワークの記述子を工夫するとともに,損失関数へ原子に働く力を含めることによって,軟化現象を再現することを目指す.項目(2)(3)で得られた研究成果と組み合わせることで,金属ガラスCuZrの軟化を高精度に表現できる機械学習分子動力学シミュレーションの実現する.また,そこでの原子応力を通じたアナンケオンを特定し,その動的挙動を明らかとする.
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