2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Reaction driving: Beyond the limit of carbon recycle |
Project/Area Number |
22H05044
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
今岡 享稔 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (80398635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
葛目 陽義 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (20445456)
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Project Period (FY) |
2022-05-20 – 2025-03-31
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Keywords | 金属クラスター / 触媒 / サブナノ粒子 / 二酸化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
未開拓であった前周期4d/5d金属の精密集積手法も開拓し、これを基盤としてMoCl5やWCl6を還元して得られるサブナノ粒子(Mo-60やW-60)の合成に初めて成功した。さらに、Mo-60及びW-60の二酸化炭素還元を検討した結果、共に99%以上の非常に高い選択率でCOが生成することが明らかとなった。さらにMoとPtを組み合わせたサブナノ粒子ではCO2をCOへ、150℃という低温で従来触媒を大幅に上回るTOFで変換することにも成功、カーボンニュートラル社会に貢献できるインパクトある成果が得られた。 すでにMo-60及びW-60の二酸化炭素水素化反応では、400℃の反応温度で99%以上の非常に高い選択率でCOが生成することを明らかにしている。これを推し進めてさらにMoとPtを組み合わせたサブナノ粒子(Mo4Pt8)では反応温度と圧力を150℃大気圧にまで低下させることに成功している(論文投稿中)。 CO2と反応中の、サブナノ粒子触媒の電子状態変化をin-situ XAFS (X-ray absorption fine structure)で観測したところ、CO2はサブナノサイズのMoに電荷移動を伴った化学吸着をしており、活性化の初期過程であるCO2への逆供与が直接確認された。このMoとCO2の電荷移動は室温でも起こっていることが明らかとなっており、さらにH2の流通によって反応前の状態に戻ることから室温でのCO2水素化が原理的に可能であることを表している。 今後、触媒となるサブナノ粒子の組成を最適化することによって、室温でも十分な活性を有するCO2水素化触媒が創製できると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、まずCO2還元を触媒する金属サブナノ粒子の組成最適化を行った。種々の元素組成を比較検討した結果、Pt-Moサブナノ粒子が最も優れた触媒活性を発揮することを明らかにした。この理由は、MoC触媒によるCO2還元の反応中間体であるオキシカーバイド(Reddy et al., Dalton Trans. 2019, 48, 12199)を容易に生成できるMoサブナノ粒子の特性(Nanoscale 2020, 12, 15814-15822, Small 2021, 17, 2008127)と、水素を結合解離し酸素を水に変換する白金の特性の相乗効果と捉えると理解しやすい。次年度の研究にむけて、葛目(分担者)のin-situ増強ラマン分光測定の設備を構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
領域の目標である常温・常圧CO2還元を目指し、2022年度で得られたモデル触媒の組成と同等のサブナノ粒子をA02班のCO2選択濃縮効果があるゼオライトに導入し、CO2分圧を1.0MPaから大気圧(0.1 MPa)程度まで低圧化できるかどうかを検証する。低圧CO2雰囲気でもゼオライト空間内ではCO2局所濃度が200気圧相当以上の擬高圧場であるため、反応常圧化が期待できる。またゼオライトにサブナノ粒子を内包することで、リーチングやシンタリングのようなサブナノ粒子の弱点を補うことができる点も、A01班とA02班のシナジー効果である。
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Research Products
(4 results)