2022 Fiscal Year Annual Research Report
精密高分子に高親和性をもつ生体分子の共進化システムの開発(共進化システム)
Project Area | Development of next-generation pharmaceuticals through evolutionary engineering of precision polymers |
Project/Area Number |
22H05050
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
澤田 敏樹 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (20581078)
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Project Period (FY) |
2022-05-20 – 2025-03-31
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Keywords | ペプチド / 精密高分子 / ファージディスプレイ法 / 相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
ファージディスプレイ法を利用し、精密高分子(A2T2)に結合するペプチドをスクリーニングした。ランダムな7残基あるいは12残基のペプチドが提示されたファージライブラリーを利用した。A2T2を磁性ビーズに共有結合を介して固定化し、ファージライブラリーと相互作用させた。結合しなかったファージは洗浄によって除去し、結合したファージのみを酸性の緩衝液により溶出して回収した。回収したファージを大腸菌に感染させて増幅する一連の操作を繰り返し、A2T2に結合するペプチドを提示したファージ群へと濃縮した。DNA配列解析によりペプチドをコードするDNA配列を明らかにすることによりペプチドのアミノ酸配列を決定した。いくつかのファージクローンは同じアミノ酸配列のペプチドを提示していることがわかり、確かにA2T2に結合するペプチドを提示したファージが得られていることが示唆された。力価測定を基にA2T2への結合を評価した結果、ペプチドをもたない野生型ファージと比較して、確かにA2T2への親和性をもつことがわかった。中でも、数種類のペプチドについてはその親和性が大きいことがわかり、分子量の小さな精密高分子であっても、ペプチドの認識対象になり得ることが明らかになった。さらに、その親和性を表面プラズモン共鳴(SPR)法により定量的に評価した結果、一部の12残基ペプチドを提示したファージは確かにA2T2に特異的に結合することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子量の小さな精密高分子に対して、親和性を示すペプチドのアミノ酸配列を同定することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
得られているペプチドと様々な配列の精密高分子との相互作用を動力学的に解析することにより、その相互作用について明らかにする。また、核磁気共鳴法なども利用して相互作用する部位を特定することにより、その相互作用についてさらに明らかにする。また、確かに親和性をもつことが明らかになったペプチドについては、BLASTなどによりその配列を含むタンパク質などを見出し、それらとの相互作用を評価し、タンパク質レベルでの相互作用についても明らかにする。他方、他の配列をもつ精密高分子を標的とした新たなスクリーニングも進め、精密高分子が生体分子に対して十分な親和性を示すことを一般に明らかにする。
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