2023 Fiscal Year Annual Research Report
精密高分子に高親和性をもつ生体分子の共進化システムの開発(共進化システム)
Project Area | Development of next-generation pharmaceuticals through evolutionary engineering of precision polymers |
Project/Area Number |
22H05050
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
澤田 敏樹 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (20581078)
|
Project Period (FY) |
2022-05-20 – 2025-03-31
|
Keywords | ペプチド / 精密高分子 / ファージディスプレイ法 / 相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
ファージディスプレイ法を利用したスクリーニングにより同定された、2ユニットのアクリル酸と2ユニットのt-ブチル基からなる精密高分子(A2T2)に結合するペプチドの結合評価を実施した。様々なアミノ酸配列のペプチドにCysをC末端側に導入し、Cysを介して環境応答性の蛍光色素であるN-(4-アニリノ-1-ナフチル)マレイミド(ANM)を導入し、それらペプチドと標的であるA2T2に加え、様々なモノマーユニットや配列からなる精密高分子とを相互作用させて蛍光スペクトルを測定した。蛍光強度の上昇や波長のシフトから、ペプチドの親和性について評価した。その結果、一部の配列のペプチドでは、アクリル酸のみからなる精密高分子と比較して特異的にA2T2に結合するペプチドが得られていることが明らかとなった。また、最大蛍光波長のシフトから、相互作用様式がそれぞれ異なっていることも示唆された。その蛍光強度や最大蛍光波長の変化はペプチドのアミノ酸配列や精密高分子の配列によってそれぞれ異なっていることから、アミノ酸それぞれが相互作用に確かに寄与しているものと推察される。また、円二色性スペクトル測定の結果、コンホメーションを変化させて相互作用しているものと推察される。また、Cysを介してペプチドを金基板上に固定化し、精密高分子をフローし、その結合を表面プラズモン共鳴(SPR)法により実時間観察して相互作用を動力学的に評価した。その結果、12残基ペプチドという比較的短鎖ペプチドでありながら、標的精密高分子に対して10の5乗程度の親和性を示すことが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子量の小さな精密高分子に対して、特異性をもつペプチドのアミノ酸配列を同定することができた。さらに、その親和性を評価することにより、十分な親和性を示すことが明らかとなったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
得られているペプチドと様々な配列の精密高分子との相互作用を動力学的に解析することにより、その相互作用について明らかにする。また、核磁気共鳴法なども利用して相互作用する部位を特定することにより、その相互作用についてさらに明らかにする。また、確かに親和性をもつことが明らかになったペプチドについては、BLASTなどによりその配列を含むタンパク質などを見出し、それらとの相互作用を評価し、タンパク質レベルでの相互作用についても明らかにする。他方、他の配列をもつ精密高分子を標的とした新たなスクリーニングも進め、精密高分子が生体分子に対して十分な親和性を示すことを一般に明らかにする。
|