2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | The reason why microbes are moving: The dawn of behavioral microbiology |
Project/Area Number |
22H05067
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
和田 浩史 立命館大学, 理工学部, 教授 (50456753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 真人 同志社大学, 文化情報学部, 助教 (60758027)
村山 能宏 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60334249)
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Project Period (FY) |
2022-05-20 – 2025-03-31
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Keywords | 弾性フィラメント / 細菌のメカニクス / 巻きつき転移 / マクロ物理実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
共生(および感染性)細菌のなかには、べん毛を菌体に巻きつけて、狭い空間や非常に粘性が高く運動しづらい環境をドリルのように突き進むものがある。本研究の目的は、この新しい運動モードを細菌が実現する仕組みを、物理的な手法を使って明らかにすることである。 23年度は、22年度に引き続き、実験および理論の両面から研究を実施し、以下に述べるように主に二つの成果を得た。 (1) 粘性流体中でのべん毛のようすを詳しく正確に調べるため、22年度にマクロ模型の実験系を作成した。本年度はまず、攪拌機の性能を向上させ、エラストマー作成工程において生じる微小な泡をほぼ完全に取り除けるようにした。その結果、浮力の影響をほぼ完全に排除できるようになり、実験結果の精度と再現性が格段に向上した。流体効果を正しく取り入れた計算機シミュレーション結果と定量的に一致することを確認した。形状の異なるらせんを多数作成し、幅広いパラメータ領域において巻きつき転移を観測し、相図を作成した。実験結果とシミュレーション結果から示唆される相境界線は、理論の予測を裏付けた。さらに実際のバクテリアのデータを重ねると、それらがまきつきの領域にあることも確認できた。以上のことより、巻きつきを示す細菌はべん毛の座屈不安定性を利用していると結論できる。 (2) 顕微鏡観測によると、フックの剛性によっては、べん毛の不完全な巻きつきやリングの形成などが観測されており、それらの細菌ではドリル運動および宿主への感染が達成できない。この仕組みを明らかにするため、計算機シミュレーションモデルにおいて接着性のべん毛を仮定して計算を行った。モデルにおいてフックの剛性を変えていくと、べん毛が菌体に巻き付く前にべん毛同士で絡まりやすくなるため、顕微観測でみられたようなリングや不完全な巻きつき形状が得られることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたとおり、当初の計画どおりにマクロ実験および理論モデル(とその数値シミュレーション)の両方において、興味深い研究成果が得られている。また、これらの独立な手法による結果は互いによい定量的一致を示している。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」で述べたとおり、これまでの研究により、マクロ物理実験および理論モデル(とその数値シミュレーション)の両方において、興味深い研究成果が得られている。今年度は計画の最終年度になるので、ここまでに得た研究成果を、学術論文としてまとめ、出版することが必要である。細部を詰めながら原稿を仕上げていく。
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Research Products
(5 results)