2022 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of the regulatory mechanism of plastid in the tissue differentiation of grass plants.
Project Area | Plastid reprogramming dynamics |
Project/Area Number |
22H05077
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
久野 裕 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (70415454)
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Project Period (FY) |
2022-05-20 – 2025-03-31
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Keywords | 色素体 / オオムギ / 脱分化 / 再分化 / 遺伝子制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物細胞オルガネラのひとつである 色素体(プラスチド)は、植物の成長や環境変化に応じて形態および機能を「分化」させる。本計画班では、組織培養系を用いて色素体の分化および脱分化を制御し、その過程での色素体相転換メカニズムの謎に迫る。本研究では、イネ科植物の中でも色素体の観察と単離が容易なオオムギの組織培養系を用いて、プロプラスチド、アミロプラストおよび葉緑体に着目し、色素体相転換を制御する因子を明らかにする。さらに、分化状態を規定する遺伝子およびタンパク質発現を明らかにして『色素体分化マーカー化』することにより、色素体の相転換メカニズムを解明することが本研究の目的である。さらに、色素体を主体とした制御による組織培養の効率化および植物組織における代謝物の効率的生産技術の開発を目指す。 本年度は各組織における色素体ゲノムがコードする遺伝子の発現プロファイリングのために、止葉、未熟胚、種子胚乳、幼苗の葉(明所・暗所)、子葉鞘(明所・暗所)、根(明所・暗所)、カルス、緑化カルス、再分化シュートなどの組織からRNAを抽出し、RNA-seq解析を行った。既知のオオムギの色素体ゲノム配列にリードマッピングを行い、各組織における特異的な遺伝子発現パターンを分析した。その結果、組織特異的な発現パターンを見出すことができた。 一方で、デンプンをmCherryによって蛍光ラベルした形質転換オオムギを作出し、デンプン粒の観察を可能にした。さらに、既に作成していた色素体全体を緑色蛍光タンパク質で可視化したオオムギに同様の形質転換を行い、色素体とデンプン粒を同時観察できるオオムギを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
葉、根、胚、胚乳、カルス等、様々な組織(色素体の分化状態)における遺伝子発現のプロファイリングに着手し、色素体ゲノムにコードされる遺伝子の組織特異的な発現パターンを見出した。さらに、色素体またはアミロプラスト特異的に可視化した形質転換オオムギの作成を達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画のうち、「未熟胚からのカルス化(脱分化)」および「オオムギカルスからの緑色シュート再生(再分化)」に着目して、どのように色素体が分化転換しているかを明らかにする。特に、カルスの状態を細分化し、それぞれの状態を観察する。得られたRNA-seqのデータを見直し、核コード遺伝子と色素体との関わりについても調査する。
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