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2022 Fiscal Year Annual Research Report

細胞動画像とオミクスデータの統合による細胞コミュニティの解析手法の開発

Planned Research

Project AreaDynamic cell community science starting with bone imaging
Project/Area Number 22H05085
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

瀬尾 茂人  大阪大学, 大学院情報科学研究科, 准教授 (30432462)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 梅谷 俊治  大阪大学, 大学院情報科学研究科, 教授 (80367820)
Project Period (FY) 2022-05-20 – 2025-03-31
Keywordsバイオインフォマティクス / 細胞画像処理 / 遺伝子発現解析 / 空間トランスクリプトーム / オミクス解析
Outline of Annual Research Achievements

近年のライブイメージング技術やオミクス解析技術の発展は著しく、細胞集団の社会活動を高解像度で観察することが可能となっている。しかしながら、4Dイメージングの動画像はその時空間的複雑さゆえに定量的な解析を行うことが難しく、また、オミクスデータの膨大な情報量は簡単に人間の理解を超える。
そこで本研究では、細胞動画像とオミクスデータの統合による細胞コミュニティの解析手法の開発を行う。具体的には、ある時刻のスナップショットである空間トランスクリプトームを中心としたオミクスデータから、細胞間相互作用の種類や様式を推定して細胞の形態情報と紐づけし、さらにこの形態情報とライブイメージングの細胞動態情報を統合する。また、これによって、細胞コミュニティのいつ・どこで・どのようなコミュニケーションが行われているかを抽出することを試みる。
初年度である本年度には、空間トランスクリプトーム解析のための数理最適化を用いた細胞比率の推定手法や、細胞動画像を対象とした強化学習による細胞追跡手法といった、細胞コミュニティの解析のための基盤技術の開発を行った。本研究計画の役割の1つは、生命科学のデータを社会科学的に解析することを可能とするための情報処理技術の開発であり,上述の要素技術はこのためにも用いられるものである。
また各計画班との議論を進め、マウスの遺伝子発現データ、およびマウス由来の培養細胞や生体環境でのイメージングデータの提供を受けて解析と検討を進めるとともに、細胞コミュニティの解析に情報科学と社会科学の技法を用いるための議論を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

空間トランスクリプトーム解析は、従来では困難だった空間情報を保持して遺伝子発現量の測定を可能にする技術である。一方で、現在代表的な空間トランスクリプトーム解析においては空間解像度に課題が残っており、ある程度の大きさのスポット内の細胞集団の遺伝子発現量をまとめて測定するため、観測データは複数種類・複数個の細胞集団の平均的な値となってしまうという問題がある。細胞コミュニティの解析に必要な情報を抽出するには、各スポットにおける細胞種の存在比率を推定する必要がある。本年度には、空間トランスクリプトームデータの各スポットにおける細胞の種類と存在比率を計算する問題を、線形計画問題や整数計画問題として定式化・求解することを試み、有用な知見を得た。
また、細胞動画像から細胞の位置を継続的に追跡するための方法を開発した。細胞コミュニティの解析には、各細胞がいつどこに存在し、どのように移動してきたかという履歴の情報が必要である。本年度には強化学習を用いた汎用的に利用可能な細胞追跡手法を開発・評価し、一定の成果を得た。
以上のことから、本研究はおおむね順調に進捗していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

細胞を観察する解像度は著しく高まり続けており、細胞の種類や状態は連続体(スペクトラム)として捉えられるようになっている。細胞の集団を規定する生化学的マーカーの同定などは精力的に行われており、依然として重要な課題である。しかし、細胞種に固有と思われていた特徴が集団間で共有されることもあり、また、細胞間の情報伝達機構の多様性や複雑さも考慮すると、細胞社会の営みは要素還元的な理解のみではなく、適度に抽象化された方法によって行うこともまた重要であると考えられる。俯瞰と注視の中間層である「つながりとコミュニティ」の解像度で細胞社会を理解するという視点は、細胞生物学のみならず、データ量の増大し続けている人間の情報化社会にとっても重要な課題であり、すなわち情報科学的意義も大きい。
次年度には、細胞動画像の特徴量の抽出と、空間トランスクリプトームデータによる細胞間相互作用の抽出と形態情報との紐づけを行うアルゴリズムの開発を行う。これにより、細胞動画像の相同性検索(外見の類似した形態・動態を示す細胞集団を検索可能とする)や、細胞間コミュニケーションの抽出(様々な動態の変化や生化学的細胞間相互作用を「つながり」の観点から分類・抽象化する)といった情報処理により、様々なアプローチによる解析を可能とするものである。

  • Research Products

    (5 results)

All 2022

All Presentation (5 results)

  • [Presentation] 動画像シミュレータを介した強化学習による細胞追跡手法2022

    • Author(s)
      長村徹,瀬尾茂人,藤本健二,繁田浩功,松田秀雄
    • Organizer
      第141回情報処理学会数理モデル化と問題解決研究会
  • [Presentation] 空間トランスクリプトーム解析のための数理最適化を用いた細胞比率の推定手法2022

    • Author(s)
      Takeru Ishii, Shigeto Seno, Shunji Umetani and Hideo Matsuda
    • Organizer
      第11回 生命医薬情報学連合大会
  • [Presentation] 細胞動画像シミュレータを介した強化学習による細胞追跡手法2022

    • Author(s)
      長村徹, 瀬尾茂人, 藤本健二, 繁田浩功, 松田秀雄
    • Organizer
      第25回 画像の認識・理解シンポジウム
  • [Presentation] 医療画像診断のための弱教師あり学習を用いた確信度付き良悪性分類手法2022

    • Author(s)
      永野由貴斗, 瀬尾茂人, 多根井智紀, 草田義昭, 松田秀雄
    • Organizer
      第25回情報論的学習理論ワークショップ(IBIS2022)
  • [Presentation] 時系列ラベルを用いた物体検出による筋線維再生の定量評価の提案2022

    • Author(s)
      山岡悠, 瀬尾茂人, 深田宗一朗, 松田秀雄
    • Organizer
      第25回情報論的学習理論ワークショップ(IBIS2022)

URL: 

Published: 2023-12-25  

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