2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Systems biosynthetics based on accumulation, prediction, and creation of biological reactions |
Project/Area Number |
22H05120
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
葛山 智久 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30280952)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 哲弘 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40323480)
吉田 彩子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (90633686)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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Keywords | 天然有機化合物 / 生合成 / ポリケチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、放線菌が生産する特殊アミノ酸、cispentacinの生合成機構の解明を目指した。 cispentacinを部分構造として含む唯一の天然有機化合物としてamipurimycin (APM) が知られており、Streptomyces sp. SN-C1(C1)が有するAPM生合成遺伝子クラスター (amc cluster) が同定されていた。 まず、amc cluster中のamcB-amcH を導入した異種放線菌の形質転換株を用いてcispentacinの異種生産を達成することで、cispentacinの生合成に関与する遺伝子を同定することに成功した。 次に、7種類のAmc酵素と脂肪酸合成酵素の組換えタンパク質による酵素反応の解析を通じて、cispentacin生合成経路のすべての反応段階を生化学的に明らかにし、cispentacinの生合成経路の全容を解明した。さらに、既知のII型ポリケチド合成酵素(PKS)による生合成機構に存在しない、2-oxoglutarateをスターター基質とする新規アデニル化酵素AmcH及びAmcF (ケトシンテース、KS) -AmcG (環化因子, CYF, cyclization factor)酵素複合体を介した前例のない五員環骨格形成反応を含め、sp2炭素での脱炭酸反応を触媒する酵素AmcEやACP結合基質を利用するPLP依存性アミノトランスフェラーゼAmcCなど、一連の特異な酵素反応と酵素を同定した。 さらには、cispentacin生合成遺伝子をクエリーとする種横断的なゲノムマイニングを行うことで、amcGのホモログ遺伝子の探索を通じて五員環骨格形成機構を有する遺伝子クラスターを効率的に検出できることを見出し、未知の天然化合物の生産を担う推定生合成遺伝子クラスターを例示した。 以上、本研究はcispentacinの生合成経路の全容を明らかにするとともに、非芳香族のシクロペンタン構造の生産を担う新たなII型PKS様の生合成機構を提案した。さらには、ゲノムマイニングを通じた新たな天然化合物の探索を通じて、天然物生合成研究における新たな論点を提示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、構造多様性一挙構築型生体反応の集積・予知・創出にかかる研究のうち、ポリケチドの生合成に関与する生体反応の集積・予知・創出を目指し、放線菌の一種であるStreptomyces sp. C-1株 が生産する非タンパク質性のアミノ酸であるシスペンタシンを選抜した。研究成果として、シスペンタシンの生合成の全容解明に成功するとともに、これまで知られていなかったII型ポリケチド合成酵素の新たなサブファミリーを同定することができ、二次代謝産物の生合成酵素レパートリーの拡大に貢献ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、構造多様性一挙構築型生体反応の集積・予知・創出にかかる研究のうち、ポリケチドの生合成に関与する生体反応の集積・予知・創出に関して成果を上げることができた。次年度は、テルペンの生合成に関与する生体反応の集積・予知・創出にかかる研究を推進するため、シアノバクテリア由来のテルペン環化酵素や古細菌由来のポリケチド基転移酵素の同定と反応機構の解明を目指す予定である。
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