2022 Fiscal Year Annual Research Report
社会行動の行動変容を生む脳ダイナミクスの解読と操作
Project Area | Deciphering and Manipulating Brain Dynamics for Emergence of Behaviour Change in Multidimensional Biology |
Project/Area Number |
22H05155
|
Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
春野 雅彦 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 室長 (40395124)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 慶 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 准教授 (00772740)
|
Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2027-03-31
|
Keywords | 行動変容 / 帯状回 / 扁桃体 / fMRI / 計算モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
向社会・自己行動の選択はヒト社会におけるもっとも重要な意思決定の一つである。本研究では、この向社会・自己行動の選択の神経機構をヒトとマカクザルを対象に行動変容の立場から明らかにすることを目標とする。ヒトでは、最後通牒ゲームにおける不公平な提案を受理するか拒否するか決める行動選択とその反応時間に対し、自己の報酬額よりも、相手が自分よりどれだけ多いかを示すDisadvantageの効果の方が大きいことを明らかにした。また、不公平な提案を受理する際の反応時間もDisadvantateに対する感度でおおまかに決まることを明らかにした。さらにその神経機構として、Disadvantateに相関する背測帯状回皮質の活動がDisadvantageに対する扁桃体の活動を抑制しており、背測帯状回皮質と扁桃体の機能結合が反応時間と相関することを見出した。つまり、自己の報酬を最大化する選択をする場合にもその反応時間は不公平に対する脳活動を抑制するプロセスによって規定されていることが分かる。また、この扁桃体の活動を非侵襲的に操作するために経頭蓋集束超音波刺激装置を導入し、顔表情判断課題を行うfMRI実験を行った。その結果、超音波刺激後に扁桃体の活動が減少し、恐怖表情の判断精度が低下することを見出した。 マカクザルを対象とした実験では、研究分担者である大阪大学の渡邉慶准教授が、マカクザルに自己の報酬と相手へのエアパフ刺激のペアとして大・大か小・小を選ぶ課題を訓練した。その結果、マカクザルが自分の報酬を犠牲にして相手のエアパフを小さくすることを見出した。現在は今後の超音波刺激実験に向けた準備を行っている段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトの向社会・自己行動を決める基礎的なプロセスを特定し、超音波刺激実験の準備実験を完了した。マカクサルの社会実験において基礎的なセットアップを完了し、超音波刺激実験に進める段階となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はヒト、マカクザルにおける集束超音波刺激実験を推進するとともに、マカクザルで行っている実験課題と相同の課題をヒトfMRI実験を実施し、両者を密接な連携のもと推進する。
|