2023 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular and structural bases enabling self-derived nucleic acid recognition in lysosomes
Project Area | Reevaluation of self recognition by immune system to decipher its physiological advantages and pathological risk |
Project/Area Number |
22H05184
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三宅 健介 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60229812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 敏之 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (30273858)
淺原 弘嗣 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (70294460)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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Keywords | Toll様受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
核酸特異的Toll様受容体(Toll-like receptor, TLR)は、病原体由来核酸に加えて組織損傷などの場合に放出される自己由来核酸にも応答し、様々な疾患の病態に関わる。TLRによる自己指向性核酸認識の持つ「功」および「罪」の面を検討する。リソソームにおける自己由来核酸に対するTLR応答を、機能的な観点のみならず、構造生物学的、核酸化学的な観点も含めて高解像度でかつ多角的に解析し、その応答の「罪」として組織球症を、「功」として炎症抑制、貪食・クリアランス、組織修復を解析する。これらの解析を通して、TLRが担う自己指向性の生物学的意義の解明とTLRストレス応答という新たな概念の確立を目指す。具体的には、リソソームにヌクレオシド、RNA、DNAが蓄積した状態における病態をマウスモデルで解析し、その病態に関わるTLR、および誘導される応答について解析を進める。ヌクレオシドに対する自己指向性TLR応答の功罪についての解析としては、リソソームにヌクレオシドが蓄積するSLC29A3遺伝子欠損マウスの解析を進め、TLR7依存性組織球症が誘導されることを明らかにした。さらにヒトではTLR8が組織球症を誘導することも示した。RNAに対する自己指向性TLR応答の功罪についての解析としては、RNAがリソソームに蓄積するRNaseT2欠損マウスの解析を進め、組織球症だけでなく肝臓の腫大も認められることを確認している。肝脾腫を引き起こすTLRの同定もすでに終えている。さらに、DNAに対する自己指向性TLR応答の功罪についての解析としては、エキソヌークリアーゼであるPLD3、PLD4の2重欠損マウスを解析し、マクロファージの蓄積による肝脾腫の発症を確認している。TLRの関与を検討するために、TLR欠損マウスと交配し、肝脾腫に関わるTLRの同定に成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヌクレオシドに対する自己指向性TLR応答についての解析では、SLC29A3遺伝子欠損マウスにおいて、脾臓で蓄積したマクロファージのRNAseq解析を行い、増殖関連遺伝子の発現を検出したが、炎症関連遺伝子の発現は認められなかった。したがって、ヌクレオシドに対するTLR7応答は炎症とは異なる応答である可能性が示された。そこで、TLR7が増殖を誘導する際に必要な分子を検索し、FcRγとDAP10の関与が候補に挙がった。そこで、これらの分子を欠損させると、脾臓におけるマクロファージの増殖は完全に消失した。したがって、TLR7依存性マクロファージ増殖はTLR7に加えて、FcRγとDAP10が関わることが明らかになった。RNAに対する自己指向性TLR応答についての解析では、RNaseT2-/-マウスにおける肝脾腫を誘導しているTLRの同定に成功している。さらにリガンドとなるRNAが脾臓と肝臓から調整したリソソーム画分に野生型マウスに比べて多く蓄積しているという結果も得ている。脾臓、肝臓に蓄積したマクロファージについて、RNAseq解析を進め、増殖および炎症関連遺伝子の発現を解析していた。Pld3-/-Pld4-/-マウスにおいても、脾臓、肝臓の腫大を認めている。組織学的及びFACS解析よりマクロファージが脾臓、肝臓に蓄積していることを確認した。肝脾腫を誘導しているTLRの同定にも成功した。SLC29A3-/-マウスと同様に、肝臓、脾臓のマクロファージについて、RNAseq解析を進め、増殖関連遺伝子の発現を確認した。野生型マウスとの比較に加えて、脾臓と肝臓の違いにも注目して解析を進め、肝臓に蓄積したマクロファージにおいて、脾臓に蓄積したマクロファージには発現していない遺伝子群に注目して解析する。これまでの解析で、複数の転写因子のターゲット遺伝子の発現が確認されている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヌクレオシド、RNA、DNAに対する自己指向性TLR応答については、順調に解析が進んでおり、引き続き、解析を進めてゆく。リソソームヌクレオシドストレスによる病態を示すSLC29A3-/-マウスについては、脾臓に加えて、唾液腺、膵臓、子宮でマクロファージの蓄積が確認されており、これらの臓器において、組織破壊の有無を組織学的に検討する。また、TLR7依存性マクロファージ増殖機構については、FcRγとDAP10に会合し、増殖誘導に関わる分子の検索を進める。リソソームRNAストレスについては、引き続き、RNaseT2-/-マウスの解析を進める。ヌクレオシドストレスと異なり、RNAストレスでは肝臓でもマクロファージの蓄積が認められている。そこで、肝臓におけるマクロファージの蓄積に注目して、解析を進めてゆく。すでに得ているRNAseq解析の結果から、肝臓に蓄積したマクロファージは脾臓に蓄積したマクロファージとは異なる遺伝子発現を示していることが分かっている。その遺伝子発現に関わる転写因子の同定を進める。すでに候補は絞り込んでおり、その転写因子が活性化されているのかどうか、ターゲット遺伝子のタンパク質発現を調べることで、検討する。リソソームDNAストレスについても、引き続き、Pld3-/-Pld4-/-マウスの解析を進める。DNAストレスの場合でも肝脾腫が認められている。そこで、肝臓、脾臓の組織学的およびFACS解析を進め、RNAストレスとの違いを検討する。さらに、肝臓、脾臓に蓄積したマクロファージのRNAseq解析も進め、RNAストレス、ヌクレオシドストレスで蓄積したマクロファージと比較することで、DNAストレスに特異的な遺伝子群の絞り込みを進めてゆく。
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Research Products
(12 results)