2023 Fiscal Year Annual Research Report
極限光技術を生かすフォトニック近似コンピューティング
Project Area | Photonic Computing Highlighting Ultimate Nature of Light |
Project/Area Number |
22H05193
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
鯉渕 道紘 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 教授 (40413926)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 浩嗣 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (30281075)
八巻 隼人 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (20782197)
安戸 僚汰 京都大学, 情報学研究科, 助教 (00846941)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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Keywords | 相互結合網 / フォトニックコンピューティング / 近似コンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、光の極限性能を活かすためのシステムアーキテクチャに焦点を当て、光の高速性・多重性を活かした近似コンピューティング技術を研究している。近似コンピューティングは、計算の間違いをある程度許容しつつ、消費エネルギーの削減と計算の実行時間の短縮を実現する。今年度は、まず、光の極限性能の一つである「光子の量子性」に着目し、画像分類のためのニューラルネットワークを構築するシステムアーキテクチャを探求した。具体的には、光量子ネットワークの接続構造をランダムグラフを基に構築することにより、必要な光量子ゲート数(干渉計などの光デバイス数)と推論精度のトレードオフの向上を図った。提案手法を評価した結果、MNISTデータセットにおける画像分類タスクにおいて、従来提案されていた光量子ネットワークの接続構造と比較して、本研究で提案されたランダムな接続構造により、Top-1分類精度が最大で6.15%向上した。このような成果から、光量子ネットワークが機械学習の性能向上に寄与することについての基礎的理解を深めることができた。 次に、レーザーカオスによる意思決定で多腕バンディット問題を解く手法をイジングマシンに適用する研究を行った。組合せ爆発により、従来の多腕バンディットの定式化では腕の数が足りず、解を求めることが困難であった。そこで、並列バンディットアーキテクチャを導入することで、複数のバンディット問題の組み合わせで膨大な解を表現する手法を考案した。GPUを用いたシミュレータを設計し評価した結果、最大カット問題のベンチマークにおいて95%程度の精度で解を求められることを示した。 この他に、光ネットワークにおける効率的経路利用を可能とするトラフィック分散法など、様々な応用問題に取り組み、光と近似コンピューティングに関する新しい技術を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フォトニック近似コンピューティングを構成する3つの要素技術であるアーキテクチャ、処理系、近似並列計算アルゴリズムの開発は順調に進んでいる。応用問題に対する定量的な成果を得ることができた点、FPGAクラスタの利用が進んだ点が特筆される。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りに進捗しているため、計画通り残り3年の研究を進める予定である。 応用問題に対する近似解の開発の経験をふまえて、アーキテクチャ、処理系、近似並列計算アルゴリズムの3つの柱の連携を一層深める予定である。
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Research Products
(12 results)