Research Abstract |
子どもに関わる事件,事故,虐待事案等においては,出来事や体験について,子どもからいかに正確な情報を得るかが重要な課題である。そのなかでも,子どもに負担をかけず,正確な情報を引き出す面接法(司法面接)の開発は,緊急性の高い重要な課題として認識されている。本研究課題の目的は,先行研究(JST「犯罪から子どもを守る司法面接の開発と訓練」)で開発を進めてきた司法面接(情報収集アプローチの一種である「NICHDプロトコル」)やその研修プログラムを,以下の3つのアプローチ,すなわち(1)基礎研究(実験調査や国外調査,文献研究棟による),(2)研修(子どもからの事情聴取にあたる専門家を対象に調査を行い,研究成果による知見を提供するとともに,フィードバックを得る),(3)現場における面接(実際に,どのように用いられているのかを,事例を通じて調査する)により,評価し改善することである。 23年度は,課題遂行の基盤作りに焦点を当てた活動を行った。先行研究において形成した「(JST)司法面接支援室」を,本研究課題での「(進学術領域)司法面接室」に引き継ぐことができるよう,機材・研究環境を整備するとともに,録音・録画装置を備えた面接室を設置した。これらの基盤のもとに,以下の活動を行った。 【1】基礎的問題の解決:子どもの時間,場所,感情概念の理解等,面接の現場で重要となる語彙,表現に関する調査:保護者が子どもからどのように過去の出来事の報告を得ているかを検討するため,幼児~中学生生徒までの年代の子どもをもつ保護者に,子どもから出来事の体験を聞きだしてもらうという調査を開始した。この他,国外調査やその他の実験(面接の繰り返し,児童やしょうがい者による供述証拠)を実施した。また,総括班の活動と連携し,分担者である白取教授の関心領域である専門家証言,城下教授の関心領域である量刑判断を要因として組み込んだ模擬裁判を実施し,データを収集した。 【2】研修:児童相談所職員,警察官,家裁調査官等に対する面接研修を行い,フィードバックを得た。特に(1)補強証拠に関する教示,(2)会話分析シートの導入を進めた。 【3】現場における面接の使用:現場における司法面接への助言,評価を通じて,面接法の使用に関わる利点や問題点に関する情報を得た。 これらの成果は次年度の司法面接およびその研修プログラムへと投入する。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は,(新学術)司法面接支援室を基盤とし,【1】については実験を継続するとともに,模擬裁判の結果を分析し,まとめる。また,【2】については道内,道外の児童相談所の他,警察官,検察官をも対象とした研修を進める。【3】については引き続き,個別の事例への助言等を通じて,実際場面での司法面接の使用に関する利点,問題点の検討をするメル。
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