2012 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a bio-screening method using intestinal epithelial cells
Project Area | Chemical Biology using bioactive natural products as specific ligands: identification of molecular targets and regulation of bioactivity |
Project/Area Number |
23102003
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岡本 隆一 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 寄附講座准教授 (50451935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 哲也 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 寄附講座准教授 (70265809)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 腸管上皮 / 初代培養 / 天然物リガンド / 生体活性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
①高効率・選択的な腸管上皮培養法とイメージング技術の確立:腸管上皮幹細胞マーカーLGR5のコード領域をEGFP-CreERTで置換したマウスより大腸上皮オルガノイドを作成し解析した結果、以下を明らかとした。1)Wnt3a,BSA,EGF,HGF,Nogginを含む独自の培地により、EGFP陽性幹細胞を高頻度に含むオルガノイドとして培養・維持可能で有る事をリアルタイムイメージングにより明らかとした。2)一方、吸収上皮細胞・杯細胞・内分泌細胞・タフト細胞等の分化細胞も一定の割合で含有し、γ-セクレターゼ阻害薬の添加によりオルガノイドにおける杯細胞の構成割合が飛躍的に増加する事を明らかとした。3)上記の培養法を単一のLGR5陽性幹細胞に適用した際も、持続的な増殖・維持が可能である事を確認した。また、ヒト腸管上皮細胞を用いた細胞周期イメージング技術としてFucci(Fluorescent Ubiquitination-based Cell Cycle Indicator)システムを導入した細胞株を樹立し、ATOH1蛋白の恒常的発現によりG0/G1期への集積が観察し得ることを報告した。 ② 培養正常腸管上皮オルガノイドの組織再生機能の解析:マウス正常大腸より樹立したオルガノイドの疾患モデルへの移植を行い、以下を明らかとした。1)生着したオルガノイドにより正常の細胞間架橋構造を再構築し得ている事をTRITC-dextranを用いた上皮透過性試験により明らかとした。2)前記手法により、単一幹細胞から樹立したオルガノイドを用いても十分な組織生着・修復機能を発揮し得ることを明らかにした。 上記成果は、高効率・選択的な腸管上皮オルガノイドの培養条件を示し、同オルガノイドが正常腸管上皮の分化・増殖を制御する化合物スクリーニングの有用なツールとなり得ることを示した画期的成果であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、腸管上皮の分化・増殖を指標としたライブイメージング技術を確立し、高効率・選択的なオルガノイド培養技術の開発に成功した。また同オルガノイドの分化系譜を偏位させ得る化合物としてγ-セクレターゼ阻害薬を同定した。更に研究代表者らが開発した培養手法により維持・増殖したオルガノイドは、個体内に生着するのみならず、レシピエント上皮細胞と連続した細胞間架橋構造も再構築し、これにより上皮組織としての連続性と上皮細胞層を介した選択的な輸送機能も回復し得る事を明らかとした。即ち、正常腸管組織が有する機能をin vitroで再現した三次元構造体であることを改めて検証し得たものである。また、レポーター遺伝子を有する遺伝子組み換え動物を用いることにより、幹細胞等の目的の細胞系譜の動態を追跡可能なイメージング系の確立にも成功している。同手法は異なるレポーター遺伝子を有する組換え動物からオルガノイドを樹立する事により、特定細胞への分化・細胞周期制御・特定遺伝子の発現制御等を調節し得る化合物のスクリーニング系へと応用展開が可能と考えられ、汎用性が期待できる技術である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、本技術を汎用性あるバイオスクリーニング法へと応用展開するため、 現在確立しているレポーター遺伝子等を利用可能なオルガノイド培養系を用い、これを応用した簡便かつ迅速な化合物評価系の構築が求められる。腸管上皮細胞を用いた化合物スクリーニング系の構築のため、研究代表者らは既に領域内の研究者らと複数の共同研究プロジェクトを開始しており、これら共同研究を通して有望な活性を有するリガンド分子の同定を目指すのみならず、スクリーニング系そのものの効率化や、培養手法の発展にもつながる事が期待できる。
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Research Products
(17 results)