2012 Fiscal Year Annual Research Report
Search for medicinal seeds and analysis of their target molecules
Project Area | Chemical Biology using bioactive natural products as specific ligands: identification of molecular targets and regulation of bioactivity |
Project/Area Number |
23102005
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 資正 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40116033)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 活性天然物 / 海洋薬物資源 / ケミカルバイオロジー / 標的分子 / 医薬シーズ |
Outline of Annual Research Achievements |
1)プローブ分子にタンパク質とより強固に相互作用するための捕捉補助基としてボロン酸を分子中に組み込んだ次世代型プローブの有用性をさらに高めるため、ボロン酸基の構造を種々変換したプローブを合成し、より捕捉能の高いプローブ分子の創成を目指した検討を行った。前年度で確立したプローブ分子の系統的合成法を用いて、生体内ペプチドであるグルタチオン由来のプローブ分子について、種々のボロン酸誘導体を導入し、標的分子であるグルタチオンSトランスフェラーゼとの親和性を検討した結果、ボロン酸よりルイス酸性の高いboroxole基を導入することで捕捉能が大きく向上することを見出した。 2)以前に我々が見出した、低酸素環境選択的がん細胞増殖阻害物質furospinosulin-1の標的分子の同定に向けて、フォトアフィニティープローブ分子の合成を検討した。系統的合成法を用いて標的分子と共有結合を形成するための光反応性基の導入位置を種々変換したプローブ分子を合成し、これを用いて、結合タンパク質同定に向けた基礎検討を行った結果、標的分子との親和性を保持したプローブ分子を見出すことに成功した。 3)強力な血管新生阻害作用を有する新規アルカロイドcortistatin Aの標的分子の同定に向けて、アフィニティープローブ分子の合成を検討した。以前に開発した、天然物をモチーフにして設計・合成した、同等の活性を有する構造単純化アナログ化合物を用いて、同様の系統的合成法によりプローブ分子を合成した。特異的な結合タンパク質を見分ける目的で、類似の構造だが活性を持たないアナログ由来のプローブ分子も同時に合成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度で確立したプローブ分子の系統的合成法を応用して、さらに捕捉能が向上した次世代型プローブ分子の開発に成功したこと、また、医薬シーズとして魅力的な活性を有するものの未だに標的分子を明らかにできていない2種の活性天然物に本法を応用し、標的分子との親和性を保持した、有効なアフィニティープローブ分子を見出すことにも成功したことなど、新規方法論の確立と標的同定という当初の目的の達成に向けて順調に進展できている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)今年度の検討により、cortistatin Aの標的タンパク質を解明するために、申請者らが開発した活性アナロ グ化合物由来のビオチン標識アフィニティープローブ分子を合成することができたので、これを用いて血管内皮細胞の破砕液からプルダウンアッセイを行い、特異的に結合してくるタンパク質の同定を検討する。また、標的タンパク質のみを選択的に捕捉・検出するため、緩和な条件で化学的に切断が可能な化学構造をリンカー部分へ組み込んだ、新しいプローブ分子の開発を目指す。 2)抗潜在性結核物質として新たに見いだした海綿由来のテルペノイドについて、ゲノムDNAライブラリーを用いる抗菌物質の標的分子解析法を適用し、その作用メカニズムを解析する。 3)微量にしか保有しない活性物質や足がかりとなる適当な官能基を持たない活性物質でも簡便にプローブ分子へと誘導できる一般性の高い手法の確立を目指して、カルベンなどの高反応性化学種として用いた官能基非依存的な結合形成反応を利用した、プローブ分子の設計・合成を検討する。また、実際にこれを用いて、申請者らが見いだした生物活性物質の誘導化と標的同定を検討する。
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Research Products
(28 results)