2013 Fiscal Year Annual Research Report
医薬シーズとしての活性天然物の探索とその標的分子の解析
Project Area | Chemical Biology using bioactive natural products as specific ligands: identification of molecular targets and regulation of bioactivity |
Project/Area Number |
23102005
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小林 資正 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (40116033)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | ケミカルバイオロジー / 活性天然物 / 海洋薬物資源 / 標的分子 / 医薬シーズ |
Research Abstract |
1)がん血管新生を強力に阻害するcortistatin Aアナログの標的分子の同定を目的に、昨年度、研究代表者らが開発に成功した、ビオチン標識活性アナログプローブおよび活性を保持しない類似構造のアナログプローブを利用して、血管内皮細胞から調製した細胞破砕液でのプルダウンアッセイを行った。その結果、タンパク質電気泳動のゲル染色画像において、活性アナログプローブに対して選択的に結合する複数のタンパク質の存在が確認された。 2)活性天然物の標的分子を捕捉・同定するための次世代型高機能プローブ分子の開発を目的に、緩和な条件で切断可能なジオール構造をプローブ中に組み込んだcortistatin Aアナログのビオチン標識プローブの合成を試み、それに成功した。また実際に、過ヨウ素酸ナトリウムで処理することにより、プローブ分子の切断が可能であることを明らかにした。さらに、微量の活性物質に対しても適応でき、官能基非依存的にプローブ分子化を可能にする機能素子として、ジアジリンを高反応性化学種として導入したプローブ素子の開発にも成功した。 3)潜在性結核菌に有効な抗菌物質として見出した、海綿由来のテルペノイド化合物の標的分子の同定を目的に、本活性物質に対して、研究代表者らが確立しているゲノムDNAライブラリーを利用する標的分子解析法を適応し解析を実施した。その結果、その標的分子が、dioxygenaseと予想されるタンパク質であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Cortistatin Aアナログの標的分子同定を目的に開発したプローブ分子の有用性を実証するとともに、結合タンパク質の同定に向けた有用な知見を得ることにも成功した。また、ゲノムDNAライブラリーを利用する抗菌物質の標的分子解析法を適応して、潜在性結核菌に有効なテルペノイド化合物の標的分子を明らかにした。さらに、次世代型高機能プローブ分子の開発に関しても、研究計画通り順調に成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)継続してcortistatin Aアナログの標的分子解析を推進し、次年度中に標的分子を同定することを目指す。研究代表者が見出している潜在性結核菌に有効な抗菌物質に関して、ゲノムDNAライブラリー法を中心に標的分子の解析を進める。 2)切断可能なジオール構造をプローブ中に組み込んだcortistatin Aアナログのビオチン標識プローブに関して、1)での結果と比較検討することにより、その有用性を実証する。また、ジアジリンを高反応性化学種として導入したプローブ素子を使用して、研究代表者らが見出している生物活性物質のプローブ化を行い、その有用性を検証する。 3)細胞破砕液を利用するプルダウンアッセイに加え、ペプチドまたはタンパク質を提示するファージライブラリーでのプルダウンアッセイ系を構築する。
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