2011 Fiscal Year Annual Research Report
新規な機能を有するリガンド低分子の創製とその基礎ならびに応用研究
Project Area | Chemical Biology using bioactive natural products as specific ligands: identification of molecular targets and regulation of bioactivity |
Project/Area Number |
23102010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 秀典 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00202416)
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Keywords | UTK01 / 癌細胞遊走阻害 / アンテキュラリン / 抗原生動物活性 |
Research Abstract |
特異かつ新たな研究領域につながりうる可能性を秘めた生物活性天然物のうち、癌細胞遊走阻害物質であるUTKO1と抗原生動物活性を有するアンテキュラリンについて、本研究領域のケミカルバイオロジーやバイオロジーに携わる研究代表者との連携を目指して合成による「もの」の供給を行った。 まず、UTKO1の合成研究についてであるが、これまでこの化合物の作用メカニズムについてはラセミ・ジアステレオマー混合物として調べられてきた。そこで当該年度では、4つの立体異性体を立体選択的に合成した。これらの異性体の生物試験の結果、いずれの異性体にもそれほど活性差がないという興味深い結果が得られた。さらにそのうちの「単一」の異性体を用いることで、標的タンパク質である14-3-3-ζとの共結晶化による結合部位ならびに結合様式の特定が可能となる。これに関しては現在進行中であり、この点が明らかになることでさらなる高活性化合物の設計ならびに合成へと発展していけると期待される。 アンテキュラリンについても光学活性体合成を完了し、天然物の立体化学を決定出来た。さらにいくつかの類縁体を合成した。それらの生物活性については現在検討中である。アンテキュラリン自体は分子内に水酸基やアミノ基のような誘導化のための官能基に乏しいが、類縁体の中で活性を保持したものが見つかれば、標的分子の特定のための分子プローブ分子の調製が可能となる。また、構造-活性相関が明らかになることでさらなる高活性分子へと展開することが期待出来る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
UTKO1の4立体異性体を合成し、標的タンパクとの結合様式解明への新しいステップに進むことが出来たこと、また、アンテキュラリンについても類縁体合成も行い、構造-活性相関研究を行うに至ったことなど、当初の予定通りに研究を進めることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要欄でも述べたが、UTKO1とアンテキュラリンに関しては現在進行中の研究結果を受けてさらなる高活性分子の創成を目指していく。また、神経細胞保護薬としての可能性に期待が持たれるディクタムジオールAや抗MRSAや抗VREF活性を示すノイリメノリドAなどの化合物についても合成研究を展開していく予定である。
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