2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Chemical Biology using bioactive natural products as specific ligands: identification of molecular targets and regulation of bioactivity |
Project/Area Number |
23102013
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
叶 直樹 東北大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40317293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼井 健郎 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (60281648)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ケミカルバイオロジー / 標的タンパク質 / 生物活性物質 / アフィニティー精製 / カルベン / 全合成 / 構造活性相関 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、新規小分子固定化アフィニティー樹脂の開発を行なうため、昨年度に開発を開始したスチレン型ジアジリン分子の探索と評価をまず行なった。富山大学の畑中、友廣らが開発したo-ヒドロキシシンナモイル基を有するジアジリン分子をアフィニティー樹脂担体に導入し、各種有機小分子の固定化と切り出しを検討したところ、365 nm の紫外線照射で小分子を固定化可能で、かつ 302 nm の紫外線照射により固定化した小分子がクマリンラベル化体として切り出されることが分かった。この新規アフィニティー樹脂がこれまでに使用してきた光親和型小分子固定化アフィニティー樹脂と同様な効率で小分子の標的タンパク質を精製できること、切り出されたクマリンラベルが定量解析用の発色団として利用できること、LC-MSを用いたクマリンラベル体の定量解析法が確立されたことから、これまでの欠点を克服した第三世代光親和型小分子固定化アフィニティー樹脂の開発に成功した。 一方、合成化学的手法を用いた生物活性小分子の作用機作解析の一環として、ポリエンマクロラクタム heronamide C の改訂構造と誘導体合成を行なった。heronamide C 改訂構造の全合成は、閉環メタセシス反応を利用することで初めて成功し、heronamide C の真の構造を合成化学的に証明することができた。提唱構造の供給も可能であるため、今後の構造活性相関研究に利用する予定である。 抗腫瘍性マクロライド FD-891, FD-892 に関しては、マクロライド部分だけでは生物活性がほぼ無いことが確認されたため、構造活性相関を見据えた側鎖の合成法を確立し、側鎖の末端から順に官能基を減らした簡略化側鎖の合成を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当初から目的としていた、光親和型小分子固定化法の欠点を克服した新規アフィニティー樹脂担体の創製に成功した。また、作用機作解明を指向した生物活性分子の合成研究に関しても、ヘロナミドの改訂構造や FD-891, FD-982、およびこれらの類縁体の合成に成功し、残り一年の研究期間で活性評価の目処が立ったため、概ね順調に進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
残り1年の研究期間で、第三世代光親和型小分子固定化アフィニティー樹脂の評価と、この樹脂を用いた各種生物活性小分子の標的分子探索を推進する。現在、分子標的や結合タンパク質探索に関する3件の共同研究を実施しており、実際の小分子固定化樹脂の調製と評価、供給を通して、第三世代光親和型小分子固定化アフィニティー樹脂の適用限界を明確にする。一方、ヘロナミド誘導体、FD-891誘導体合成もそれぞれ複数の大学院生、学部学生と共に遂行する。研究分担者との連携のもと、これまでの成果を今年中にまとめて論文として報告する。
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Research Products
(24 results)