2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Chemical Biology using bioactive natural products as specific ligands: identification of molecular targets and regulation of bioactivity |
Project/Area Number |
23102015
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西川 俊夫 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (90208158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
此木 敬一 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40292825)
安立 昌篤 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (80432251)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | テトロドトキシン / サキシトキシン / 電位依存性ナトリウムチャネル / 阻害剤 / 有機合成 / サブタイプ選択的 / パッチクランプ法 / チリキトキシン |
Research Abstract |
(1)TTXアナログの合成:昨年度、コスタリカ産ヤドクガエルから単離されたTTXの類縁体チリキトキシンの全合成を達成した。しかし、生物活性試験をするための十分なサンプルが確保できなかったため、H25年度に同じチリキトキシンを再度合成した。なお、この化合物の合成にあたって開発した保護基MTMの脱保護条件を精査して、一般性などを明らかにした。 (2)STXのアナログ合成:昨年度、あらたな形式の連続環化反応によってSTXのスピロビスグアニジンの合成法を確立した。H25年度は、連続環化反応の生成物から STX骨格への変換を検討した。その結果、連続環化後にピロリジン窒素上にグアニジンを導入することは困難で、予めグアニジン前駆体としてウレアを導入した基質で連続環化反応を行う必要があることが分かった。 ・昨年度、TTXと類似の双極イオン構造を有する海産天然物クランベシン Bのカルボン酸部分の全合成に成功した。H25年度は、香月らによって報告されたサラン錯体を触媒とする不斉エポキシ化によって極めて高い光学純度でエポキシド中間体を合成できることを見いだした。 (3)ナトリウムイオンチャネル阻害活性測定:予備的な活性評価法として、ウワバイン、ベラトリジンを使ったNeuro-2A細胞の生存率を指標にして合成化合物のナトリウムイオンチャネル阻害活性を調べた。その結果、チリキトキシンは TTX とほぼ同等の、8-deoxy -TTXは約1/70の阻害活性を有していた。また、クランベシンBカルボン酸は TTX のおよそ1/10の活性を示した。一方、パッチクランプによる阻害活性評価系の立ち上げ状況は、Nanion Technologies社製のオートパッチシステムで必要なNavの安定発現株の樹立が困難で、実際にはNav1.4、Nav1.5を安定発現する細胞株の樹立には成功したが、樹立した細胞株の維持およびオートパッチシステムに適した細胞懸濁液の調製について条件の最適化には至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)TTXアナログの合成:最大の理由は、昨年度合成したチリキトキシンの最終精製でサンプルを失い、同化合物の合成を最初からやり直したことにある。今回は、精製を慎重に行い、活性評価に必要なサンプルを確保した。また、6-epi体の合成中間体に含まれる6位ニトリルのヒドロキシメチル基への変換が予想を超えて困難であったことが挙げられる。 (2)STXアナログの合成:昨年度開発した連続環化反応では、アミノ基をウレタン系保護基で保護した基質を使っていたが、環化生成物のウレタン系保護基を脱保護し、グアニジンに変換できなかったことが最大の理由である。 (3)Naイオンチャネル阻害活性測定:Nanion Technologies社製のオートパッチシステムで求められる安定発現株の樹立が困難を極めたためである。実際、Nav1.4、Nav1.5を安定発現する細胞株の樹立には成功したが、Nav1.2を安定発現する細胞株の樹立は実現しなかった。さらに、樹立した細胞株の維持およびオートパッチシステムに適した細胞懸濁液の調製について最適な条件を見いだせず、得られた実験結果の再現性を確認できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)TTXアナログの合成:今年度は、昨年合成に至らなかった6-epi-TTX, 8-epi -TTXの合成を達成する。6-epi-TTXの合成には、シアノヒドリンの1、2-ジオールへの変換法だけが残された合成課題である。モデル化合物を使って、温和な変換条件を開発し、6-epi-TTXの合成を完了する予定である。8-epi-TTXの合成に関しては、昨年度 重要中間体の合成に成功したので、引き続き合成を進め8-epi-TTXの合成を完成させる。 (2)STXアナログの合成:昨年度までに、STXの三環性構造の短工程合成に成功している。残った課題は、 A環のウレア構造のグアニジンへの変換である。モデル化合物を用いて、幾つかの可能性を検討し、STXの類縁体合成を可能とする変換方法を確立する計画である。 (3)Naイオンチャネル阻害活性測定 昨年度まで使用していたオートパッチシステムに替わり、従来型のパッチシステムを利用する。本システムでは一過発現系を用意すれば十分であり、また、Nav1.2、Nav1.4、Nav1.5共に報告例がある。共同研究者(東北大・院農・此木敬一准教授)も元所属先のワシントン大学(シアトル)にて経験済みである。Navの一過性発現株は、pCDM8にクローニングされたヒトNav1.2、同1.4あるいは同1.5の遺伝子と共にCD8遺伝子を共発現させることにより得られる。Lipofectamine 2000を用いて共発現を試みるが、発現株の探索には抗CD8モノクローナル抗体を縮合させた磁気ビーズを使用する。本手法についてはかつての所属先で共同研究者(東北大・院農・此木敬一准教授)が経験済みであるため、昨年度まで立ち後れていた活性評価を効率的に進めて行くことが可能と考えている。
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Research Products
(30 results)
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[Journal Article] First Identification of 5,11-Dideoxytetrodotoxin in Marine Animals, and Characterization of Major Fragment Ions of Tetrodotoxin and Its Analogs by High Resolution ESI-MS/MS.2013
Author(s)
Yotsu-Yamashita, M.; Abe, Y.; Kudo, Y.; Ritson-Williams, R.; Paul, V. J.; Konoki, K.; Cho, Y.; Adachi, M.; Imazu, T.; Nishikawa, T.; Isobe, M.
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Journal Title
Mar. Drugs
Volume: 11
Pages: 2799-2813
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Synthesis of Marine Toxins Aiming at Developing Ion-Channel Inhibitors2013
Author(s)
Toshio Nishikawa, Masaatsu Adachi, Ryo Sakakibara, Takuya Imazu, Yoshiki Satake, Shouta Tokoro, Atsuo Nakazaki, Yuuki Ishikawa, Yusuke Sawayama, Minoru Isobe, Keiichi Konoki, Yukie Chiba, Mari Yotsu-Yamashita
Organizer
The 2nd International Symposium on Chemical Biology of Natural Products: Target ID and Regulation of Bioactivity
Place of Presentation
Yokohama
Year and Date
20131028-20131029
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