2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Particles Physics opening up the Tera-scale horizon using LHC |
Project/Area Number |
23104002
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
|
Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
徳宿 克夫 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (80207547)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海野 義信 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (40151956)
受川 史彦 筑波大学, 数理物質科学研究科, 教授 (10312795)
|
Keywords | 素粒子実験 / ヒッグス粒子 / 標準理論 / ピクセル検出器 / 半導体超微細化 |
Research Abstract |
本研究ではLHCでの国際協力で建設されたアトラス検出器を用いてヒッグス粒子を直接発見し、ゲージ対称性の破れと質量の起源の謎の解明を目指す。2011年には世界最高エネルギーの陽子陽子衝突型加速器LHCは重心系エネルギー7TeVで運転し、目標の5倍に相当する、積分ルミノシティー5fb^<-1>のデータを収集できた。ヒッグス粒子の質量がどのぐらいかで感度が変わるが、これは標準理論の予言するビッグス粒子の発見も可能なデータ量であり、様々な崩壊を仮定してヒッグス粒子の探索を精力的に進めた。特にヒッグスが2光子、あるいは2つのZ粒子、あるいはW粒子対に崩壊する3つのモードに関しての解析が進んだ。結果を12月に暫定結果を公表し、2月にアトラス実験の論文として発表した。ヒッグス粒子が存在する明確な信号は得られず、そこから、ヒッグス粒子があるとしてもその質量としては115.5-131GeVという狭い領域に限られることを、95%の確度で示すことができた。この領域にはデータの若干の超過が見られており、興味深い。2012年のデータを基に標準理論のいうビッグス粒子の有無に関して決着をつけることができると期待している。 他の崩壊モードでの探索の準備も進め、特にヒッグスがτ対に崩壊するモードに関して、研究が大いに進展した。τ粒子の崩壊では荷電レプトンが含まれるものと含まれないものがあるが、両方のモードともに探索に使えることを示し、ヒッグスに関しても標準理論の予言する量の3倍程度までの感度が得られており、暫定結果を春の学会等で発表した。 測定器開発では、n-in-pタイプのピクセル検出器(ピクセルサイズ:50x250μm、ピクセル数:336x80)を設計し製作を行なった。検出器の性能を調べるための測定器具の整備も進めた。今後出来上がった測定器の性能検査とともに、さらに微細化したセンサーの開発を進めていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
9で述べたように、LHC加速器の性能が予想を上回ったために、平成23年のデータでも広い質量領域でのヒッグス粒子探索を進めることができた。10月末までにとったデータからの暫定結果を12月中旬に発表し平成24年2月には論文公表できた。まだ発見には至っていないが、標準理論のいうヒッグス粒子があるとしてその質量は115-131GeVという狭い範囲に抑えることができた。 ヒッグス発見後の精密測定のためのピクセル検出器の開発も順調に始動した。
|
Strategy for Future Research Activity |
標準理論のいうヒッグス粒子が存在するのであれば、平成24年に収集するデータでほぼ確実に発見できると考えられるため、ヒッグス探索の解析を精力的に進める。現在排除されていない質量領域では、ヒッグス粒子はいろいろな崩壊モードを示すと考えられる。このため、2光子への崩壊、W粒子対への崩壊、τ粒子対への崩壊等を並行して進めていく。既に解析手法はほぼ確立しているが、特にτ対崩壊モードは、昨年度から新しい改善を進めており、より感度を上げられることが期待できる。今年は重心系エネルギーが変わるのでそれに合わせた最適化と、多量のデータが収集できることによるバックグランドの精密評価が鍵となる。 測定器開発では、昨年度製作した検出器の性能を読み出しチップと接続し調べるとともに、実験環境の理解のもとに更に感度を上げる設計を行い、別タイプのn-in-p型のピクセル検出器を製作する。
|