2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Particles Physics opening up the Tera-scale horizon using LHC |
Project/Area Number |
23104005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
戸本 誠 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80432235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寄田 浩平 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (60530590)
長野 邦浩 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (90391705)
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Keywords | 素粒子実験 / LHC-ATLAS実験 / トップクォーク / 高速飛跡トリガー |
Research Abstract |
CERN研究所 LHC-ATLAS実験は、平成23年度中に5/fbの衝突エネルギー7TeVの陽子・陽子衝突データを収集した。この時の約82万トップクォーク(tクォーク)対を解析し、tクォーク対断面積の測定を行った。具体的には、tクォーク対の崩壊終状態の中に、2本の電子かμ粒子を含む2荷電レプトン過程、1本の電子かμ粒子を含む1荷電レプトン+ジェット過程、電子もμ粒子も含まない全ジェット過程、タウ粒子を含むタウ粒子崩壊過程で細分化し、tクォーク対生成断面積を測定することに成功した(2レプトン過程は論文発表、その他は予備結果)。それらの全ての断面積測定結果は、標準模型の予想値165pbと測定精度の範囲で無矛盾であった。さらに、レプトンの運動量や飛来方向分布などのトップクォーク対生成に特徴的な事象分布に対しても、測定精度の範囲で標準模型の予言と一致することを示した。本研究により、テラスケールにまで及ぶ広いエネルギー領域に至るまで、標準模型がトップクォーク対生成を良く記述する有効理論であることを示した。測定精度は理論計算による不定性より良くなってきている。次年度以降のトップクォークを用いた標準模型の精密検証研究の基礎を作った(戸本、寄田)。 将来にtクォーク事象選別トリガーのために開発を進める高速飛跡再構成トリガー(FTK)回路のR&D開発テストスタンドを早稲田大学にて構築した。従来型のVME規格を用いた回路系と共に、新たにATCA規格を用いた回路系を構築し、ATCA規格が信号の送受信の観点で勝る事を示した。次年度以降のプロトタイプFTK回路作成の基礎を固めた(寄田)。μ粒子を終状態に含む興味事象選別を行うμ粒子トリガーのトリガー頻度のビーム輝度依存を導出し、平成24年度以降のトリガー改善計画を示した。さらに、μ粒子トリガーにFTKを導入する可能性を指摘した(長野)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書にまとめた以下の項目を達成した。 1)LHC-ATLAS実験で最初に取得したデータを用いて、トップクォーク対生成断面積の測定結果を発信した。この結果は、今後展開する、湯川結合測定や新物理探索の基礎となる。 2)将来のトップクォーク研究に向けた高速飛跡トリガー回路の開発とその可能性の模索を実際に開始した。 以上のトップクォーク物理およびトリガー開発の成果は「研究発表」の項目にあるように論文や学会などで発表されている。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに高い衝突エネルギー、ルミノシティーによる高精度なtクォーク物理研究を展開する。これまでのtクォーク対生成断面積測定を発展させ、tクォークの力学的変数の精密測定を実施する。さらには、tクォーク対+ジェットの断面積測定を実施し、将来のttH過程の断面積測定による湯川結合定数への基礎固めを行う。
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Research Products
(13 results)