2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Particles Physics opening up the Tera-scale horizon using LHC |
Project/Area Number |
23104008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 昌弘 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10222366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸井 健夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (60322997)
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Keywords | 素粒子論 / 素粒子実験 / 宇宙論 |
Research Abstract |
素粒子物理学の理論・実験的研究に基づき宇宙暗黒物質の正体や宇宙の物質・反物質の非対称性生成の機構などに迫るのが本研究の目的である。 山口は、最小超対称標準模型(MSSM)のヒッグスセクターを拡張しPeccei-Quinn対称性を持っているような模型での超対称性の破れのパターンについて研究した。ゲージ伝播機構における超対称アクシオン模型を構築した。この模型ではアクシオンの超対称スカラー対のポテンシャルの生成に関して、超対称性の破れのメッセンジャーとPeccei-Quinn対称性の破れのメッセンジャーの混合が重要な役割を果たす。このとき,アクシオン超場とヒッグス場との結合によって有効的なμおよび超対称性を破るBパラメータが電弱スケールにうまく現れるようにできることを示した。また、この模型が初期宇宙論に及ぼす影響について論じた。次に、MSSMにゲージ一重項場を加えた理論(NMSSM)が更にPeccei-Quinn対称性を持っているような模型を構築し、その性質について調べた。この模型がNMSSMの問題であるタッドポール問題やドメインウォール問題を同時に解決することを示した。この模型では比較的軽いニュートラリーノが存在し、これが宇宙の暗黒物質の候補となることを議論した。 極めて小さいグラビティーノ質量を持つ超対称模型は、宇宙論的諸問題を解決する可能性があり、多くの研究者の興味を集めている。諸井は、グラビティーノ質量が極めて小さい場合、インパクトパラメータ情報を用いるとLHC及びILC実験においてグラビティーノ質量を決定できる可能性があることを指摘した。また、熱的インフレーションは、超対称模型に基づいて宇宙進化のシナリオを考える上で重要な役割を果たす。このシナリオにおいて重力波が大振幅で生成され得ることを指摘し、将来の重力波探査実験において観測される可能性があることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個々の興味深い素粒子模型に基づいた宇宙論的影響の研究は、順調に成果を上げており、論文として発表できている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度LHC実験がヒッグス粒子の存在を示唆するデータを発表したが、今年度はヒッグス粒子の発見が期待される。LHC実験の状況を睨みながら、当初の計画に基づき、データから示唆される模型の構築および絞り込みを行いながら、その宇宙論への影響を研究する。
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Research Products
(3 results)