2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Particles Physics opening up the Tera-scale horizon using LHC |
Project/Area Number |
23104009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
細谷 裕 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50324744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾田 欣也 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60442943)
林 青司 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (80201870)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | 素粒子理論 / 余剰次元 / ヒッグスボゾン / ゲージ・ヒッグス統合 / 細谷機構 / テラスケール |
Research Abstract |
ヒッグスボゾンが、LHCで発見されたが、その正体はまだ不明である。我々の世界の時空が5次元以上あるとすれば、その反映としてヒッグスボゾンが全く違う形で出現する。余剰次元の存在を確認することで、新しい時空像を打ち立てようというのがこの研究 課題である。 細谷と研究員の折笠は、 昨年構成した、質量126GeVのヒッグス粒子を実現するSO(5)xU(1) ゲージ・ヒッグス統合理論から、来年度から始まるLHC14TeV実験にどのような予言を与えるか吟味した。5次元目のAB位相, KK質量, Z ヒッグスボゾンの3点,4点結合定数, Zボゾン、光子のKK励起粒子の質量などの間に、理論の詳細によらない普遍的な関係があることを示し、LHC14TeV実験で、Z'ボソンとして観測可能であることを明らかにした。生成断面積を評価し、AB位相が0.08 ~ 0.12のとき、6 TeV ~ 8 TeV の領域で、レプトン対のシグナルとして確実に観測可能であることを示した。 林はゲージ・ヒッグス統合理論の総合的な展開を広げた。尾田は、標準模型のヒッグス場と重力場の曲率とのカップリングがあれば、プランクスケールでのインフレーションが可能となり、最近観測されたBICEPのデータを説明できる事を示した。 細谷は、細谷機構をSU(3)格子ゲージ理論の数値シミュレーションで解析し、ゲージ対称性の自発的破れが、非摂動的に起ることを示した。Polyakovループの固有値分布を格子シミュレーションで求め、それが、摂動論から予想される分布と対応することを確認し、随伴表現のフェルミオンがあると、対称性の自発的破れがおこることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現実的なゲージヒッグス統合モデルが構成でき、実験との詳細な比較が可能になった。このモデルは、低エネルギーでの実験のみならず、LHC 8TeVの実験デー タと誤差の範囲で consistent である。標準模型との差は、エネルギーをあげた次のLHC 14TeV の実験で確実に現れる。特に すでに構成した現実的なSO(5)xU(1) ゲージ・ヒッグス統合理論の解析をすすめ、次の実験への予言を明確にする。とくに、Z'ボゾンとしてZボゾン、光子のKKモード、Z_R粒子がレプトン対として観測されるはずであることを示した。また、 格子ゲージ理論の数値シミュレーションで、細谷機構(ゲージ対称性の力学的破れ)が起ることを示す強い証拠を得た事は大きい。格子ゲージ理論分野で新しい領域を作り出しつつある。一方で、標準理論を極限にまで押し進め、宇宙初期のインフレーションが起る条件を見つけたことも重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに構成した現実的なSO(5)xU(1) ゲージ・ヒッグス統合理論の解析をすすめ、LHC 14TeV 実験への予言を明確にする。Z'ボゾンだけでなく、暗黒物質候補、t tbar の forward-backward非対称性、exoticフェルミオン生成等を調べる。暗黒物質探索への予言も与える。細谷機構の格子ゲージ理論シミュレーションが軌道にのりつつあるが、フェルミオンをdomail wall fermion コードに変え、研究を進める。より大きな格子で、2点関数を測定し、粒子のスペクトルを調べ、対称性の破れの直接的証拠を得る。標準理論でのインフレーションがBICEP観測結果と矛盾しないかどうかも見極める。
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