2012 Fiscal Year Annual Research Report
Studies of generation structure in new physics at terascale
Project Area | Particles Physics opening up the Tera-scale horizon using LHC |
Project/Area Number |
23104011
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
久野 純治 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (60300670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 展祐 名古屋大学, 基礎理論研究センター, 准教授 (40273429)
進藤 哲央 工学院大学, 基礎・教養教育部, 准教授 (60553039)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 素粒子論 / LHC実験 / 超対称性 / 大統一理論 / ヒッグス粒子 / 宇宙のバリオン数生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
久野は超対称模型の可能性として、中間スケールに新たな物質場が有る場合、また超対称性の破れが大きい場合の2つの場合に着目し、そこで大統一模型が実現されている場合における陽子崩壊の評価を行い、従来の模型よりも将来実験の感度が高いことを示した。また、大統一のゲージボゾンによって陽子崩壊を起こす演算子に対する異常次元を2ループの精度で、有効ケーラーポテンシャルを用いることで導出した。 また、久野はTeVスケールに感度のある中性子の電気双極子能率をQCD和則を用いることでより系統的に評価を行った。またQCDにおけるCPを破る次元6までの相互作用のウイルソン係数すべての繰り込み群の方程式の導出を行った。これによりQCD補正の信頼性があがった。 125GeVヒッグス粒子を最小超対称標準模型で実現するには、ストップの質量を比較的大きくせざるを得ないが、ストップが重いとパラメータのチューニングが必要になってくる。前川は、チューニングの大きさを表す式に現れるログ因子を小さくするシナリオとして、ミラージュ媒介機構の一般化に成功した。また、久野は、ヒッグスセクターを拡張する可能性として、SU(2)2次元ヒッグス以外に7次元ヒッグスを入れる可能性を検討し、具体的な模型の構築を行った。 バリオン数生成に関連した研究を進藤は行った。まず,バリオン数生成メカニズムとして電弱バリオン数生成を考え,これを実現する超対称性に基づく現象論模型を考えた。この模型では,10TeVから数十TeVのスケールでランダウポールが出現し,そこで理論が切り替わる必要があるため,このカットオフスケールより上のスケールでの基本的な理論として,SU(2)の超対称性強結合理論に基づく模型を提唱し,その現象論的議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
LHC実験によりヒッグス粒子が発見された。標準模型を超える理論として有望視されている超対称標準模型はより有望になったといえる一方で、これまで考えられたいた超対称標準模型に比べ多かれ少なかれ修正が必要となることが分かった。このことは超対称標準模型の先にある超対称大統一模型の構築に影響を与え、またクォークとレプトンの統一を果たす大統一リオンにおいて導かれる陽子崩壊の予言が変わる。それに対してこの1年精力的に研究を行い、陽子崩壊の現在の観測および将来実験での到達可能性に関して研究成果を出すことができた。この研究に関して、いくつか残された問題は残っており、次の年度で完成させることが可能であると考える。 電子や中性子などの電気双極子能率はテラスケールでの標準模型に超える模型におけるCPの破れに高い感度がある。その一方、特にハドロンの電気双極子能率の評価に関してまだまだ未完成な点が多数存在する。この年度、QCDにおけるCP対称性を破る演算子、最大次元6までの演算子のウイルソン係数の繰り込み群の方程式を我々は完成させた。これにより電弱スケールとハドロンスケールの間の量子補正はより精度良く計算が可能となった。また、QCDにおける次元5までの相互作用から中性子の電気双極子能率の評価をQCD和則で行い、その不定性を議論をした。今後は、LHC実験から期待される具体的なテラスケールの理論からどういった電気双極子能率が予言されるかを議論をする必要がある。 電弱バリオン数生成は宇宙のバリオン数の起源の有望な候補であり、LHC実験等で検証可能なシナリオである。このシナリオが有効な超対称標準模型の拡張を行い、その模型の検証の可能性が議論された。今後はさらにより一般的な電弱バリオン数生成の検証の可能性を議論する必要がある。他の宇宙のバリオン数の起源の候補であるレプトジェネシスなどは検討が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒッグス粒子の質量が超対称標準模型でこれまで期待されていた予言よりも重かった。そのためより現実的な超対称標準模型を構築し、その模型における現象論を完成させることは急務である。たとえば、新たにヒッグス粒子の質量を重くするメカニズムとして新たな物質場の導入がある。現在、簡単な模型が提案されているが、その模型の背後の物理がつめきれていない。また、その世代構造などの議論はま全く手が着いていない状態である。これらの問題は早急に行う必要がある。ヒッグス粒子の重い理由の1つに超対称粒子が非常に重い場合も考えられる。その場合LHC実験で何が見つけられるか、また他の実験で探索が可能かどうかを明らかにすることは、将来の素粒子物理の方向を検討する上で重要になると考える。 陽子崩壊、ミューオン・電子転換のようなレプトンフレーバー数非保存過程、電子・中性子などの電気双極子能率はテラスケールやさらにもっと高エネルギーの物理に感度があり、LHC実験とは相補的である。これらの物理の理論を整理するとともに、テラスケールの物理におけるその相補性を明らかにしていく。 宇宙のバリオン数の起源として電弱バリオン数生成は有望である。LHC実験やEDM探索などによって個々の模型におけるこのシナリオの検証可能性は議論されてきた。その一方で、より一般的なシナリオの制限が求められる。この問題に関しては、今後検討する予定である。
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Research Products
(21 results)