2011 Fiscal Year Annual Research Report
多機能型キラルオニウム塩の設計に基づく高選択的分子変換法の開拓
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
23105004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浦口 大輔 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (70426328)
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Keywords | 有機化学 / 合成化学 / 有機触媒 / 不斉合成 / イオン対 |
Research Abstract |
当該年度の研究内容について鍵構造であるP-スピロ型キラルアミノホスホニウムイオンが示す触媒作用別に以下に示す。 (a)共役塩基の触媒作用: エステル等価体エノラートおよびホモエノラートのような求核種に着目し、Angelicaラクトンをモデルとしたアルドール型反応の開発を行い、比較的高い立体選択性の獲得に成功した。加えて、アミノ酸から誘導したアズラクトンの電子欠損三重結合への共役付加反応に取り組み、従来難しかった付加中間体へのプロトン化プロセスの制御に成功した。この知見を利用して現在、高い立体選択性でEおよびZ体の生成物を任意に作り分ける手法の確立に挑んでいる。 (b)超分子イオン対の触媒作用: 2価アニオンとしてアズラクトンの二量体を取り上げた研究を行ったが、目的分子の不安定性のため、新たな知見を得るまでには至っていない。一方、会合型イオン対の構造制御プロセスについての研究の過程で、これまで構成要素の比率により制御してきた会合状態を、溶媒の極性を調節することでも制御できることを見出した。また、この事実を利用してニトロオレフィンへの高立体選択的共役付加反応を実現した。 (c)イオン性Bronsted酸触媒作用: イオン性Bronsted酸による分極誘起効果を、不斉転位反応・プロトン化反応への適用により系統的に評価した。α位にヘテロ原子を持つケテンジシリシルアセタールへのプロトン化反応が、軸不斉を持つジオキサジアミノホスホニウムバフェートにより高エナンチオ選択的に進行することを明らかにした。 現在、引き続き条件検討による基質一般性の拡大とエナンチオ選択性の向上に取り組んでいる。 (d)二相条件下での触媒作用:目標とする小アニオンの制御に向けて触媒構造の修飾に取り組んだが、目的化合物の合成に多段階を要し、今のところその触媒機能評価には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定に届いていない小テーマもあるが、計画以上に成果が出てきている小テーマもあり、全体としてはおおむね順調と言える。特に、塩基触媒作用を用いる反応系における電子欠損三重結合に対する共役付加中間体へのプロトン化段階の制御に成功したことは、今後の研究展開に対して重要な知見を与えた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところおおむね順調な進展を見せており、特に新しく工夫する点は無い。現状通り、各小テーマに沿って触媒分子の挙動を理解し、新たな分子変換の開発へつなげていく。
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