2014 Fiscal Year Annual Research Report
多機能型キラルオニウム塩の設計に基づく高選択的分子変換法の開拓
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
23105004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浦口 大輔 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70426328)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機分子触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
水素結合とイオン間相互作用の組み合わせによる構造の定まったイオン対形成を基盤として、有機イオン対の構造制御に立脚した高効率かつ高選択的な分子変換反応の開拓を目指して研究を行った。鍵構造として取り上げたP-スピロ型キラルアミノホスホニウムイオンの機能別に、今年度の研究成果の概要を示す。 (a) 共役塩基の触媒作用:トリアミノイミノホスホランの強塩基性を利用した連続反応を案出し、形式的な触媒的不斉交差ピナコールカップリングを実現した。すなわち、活性カルボニル化合物であるイサチンへのヒドロホスホリル化、ホスファ-Brook転位によるカルバニオン生成、アルデヒドへのアニオンの立体選択的な付加、そして分子内ホスホリル転位が連続的に進行し、二種のカルボニル化合物(イサチンおよびアルデヒド)から1,2-ジオール誘導体が一挙に生成するシステムの確立に成功した。また、電子不足な内部アルキンへの不斉共役付加反応における幾何異性の制御に初めて成功し、様々なα-ビニリック-α-アミノ酸誘導体の合成へとつなげた。本反応では、四置換アレニックエノラート中間体へのプロトン化段階を制御できたことが選択性に反映されていると想定される。しかし、現在のところプロトン化過程の詳細は未知であり、今後の研究課題として残された。 (b) 超分子イオン対の触媒作用:有機分子を触媒とする化学でしばしば決定的な役割を果たす水分子を超分子型イオン対形成に取り込み得ることを見出し、遷移状態の微細修飾に基づく選択性の発現へと結実させた。 (c) イオン性Bronsted酸触媒作用:イオン性Bronsted酸がラジカル生成触媒と協働する新たな触媒系を創出し、従来に例の無い制御プロセスを経る高エナンチオ選択的な結合形成反応へと展開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初設定した触媒機能別に、それぞれ特徴的な反応システムの開発に成功しており、おおむね順調に研究が進展しているといえる。特に、従来まで過剰量の金属塩の添加が必須とされてきたピナコールカップリングを非金属条件下に実現したことは特筆すべき成果であり、ホスファ-Brook転位によりカルボニル基の極性転換が可能になることを実証するものとしても重要である。また、電子不足三重結合への共役付加における問題として残されてきた幾何異性の制御に成功したことで、非常に基礎的でありながらも詳細が未知であった結合形成プロセスを理解するための端緒を得た。一方、二相条件下での触媒システムに関してはやや課題が残る。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に進展している状況を踏まえ、次年度も研究体制を維持したまま進める。
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Research Products
(12 results)