2013 Fiscal Year Annual Research Report
キラルブレンステッド酸触媒による制御システムの理論的検討
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
23105005
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
山中 正浩 立教大学, 理学部, 准教授 (60343167)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内丸 忠文 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (00151895)
都築 誠二 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノシステム研究部門, 主任研究員 (10357527)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | 有機分子触媒 / キラルリン酸触媒 / プロリノール触媒 / ハロゲン結合 / 理論計算 / 反応機構 |
Research Abstract |
本年度は、各班の実験研究者と連携して、アミノ酸系、リン酸系およびプロリノール系有機分子触媒による不斉反応の制御機構解析、ならびに弱い分子間相互作用に関する精密解析を行った。A01班の秋山との連携では、リン酸系有機分子触媒による不斉反応として、ビアリール化合物の不斉臭素化反応、ベンゾチアゾリンやインドリンによるケトイミンの不斉還元反応について理論的解析を行い、反応制御機構や立体制御機構を明らかにした。A01班の吉田と連携では、β‐アミノ酸触媒による不斉Michael付加反応の立体制御機構を解明した。A02班の川端と連携では、分子内にカルボキシレートを有するDMAP型求核触媒を用いたアシル化反応におけるカルボキシレートの配置と反応促進効果について反応制御因子を解明した。A03班の林との連携では、プロリノール系有機分子触媒を用いる不斉反応としてDiels-Alder反応とシクロプロパン化反応を取り上げ理論的解析に着手し、これらの反応における反応制御因子について検討した。A03班の長澤と連携では、グアニジン-ウレア触媒による不斉酸化反応における立体制御因子について検討した。一方、有機分子触媒による反応制御機構の理論的解析をさらに緻密に行っていくためには、種々の弱い分子間相互作用の詳細を明らかにする必要がある。本年度は、弱い分子間相互作用の一つであるハロゲン結合に置換基が与える影響の解明を行った。また密度汎関数法に用いる functional や基底関数系の選択がπ/π、CH/π相互作用の計算に与える影響を系統的に解析した。また、A01班の山田と連携し、四級アンモニウムを鋳型とする選択的なNorrish-Yang環化反応の解析を行い、反応機構を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
A01班の秋山、山田、吉田、A02班の川端、柴田、A03班の林、長澤による実験研究と緊密に連携し、それぞれに開発を進めている有機分子触媒による不斉反応について立体選択性や不斉識別の制御機構を明らかにした。また、有機分子触媒反応のより緻密な理解や精密設計に必須と考えられる弱い分子間相互作用の解析として、置換基がハロゲン結合に与える影響を解明するとともに、カルコゲンの分子間相互作用の強さや引力の原因を解明した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に確立した実験研究と理論研究の連携は順調に進展しており、特にリン酸系有機分子触媒とプロリノール系有機分子触媒を中心に緻密な理解が進むとともに成果が表れていると考えている。今後も、リン酸系およびプロリノール系有機分子触媒を中心に、イミンの不斉還元反応、アズラクトンの直接的不斉アルドール型反応、不斉Diels-Alder反応、シクロプロパン化反応について、前年度までの解析結果を踏まえて、解析モデルの精密化と解析手法の高度化をはかり、反応の不斉識別と立体制因子に関する理解を深めると共に、班員との幅広い連携により、アミノ酸Li塩触媒、ピロリジン-ピリジン触媒、グアニジン-ウレア触媒、ホスファゼン触媒による不斉触媒反応の理論的解析へと展開していく。一方、また、弱い分子間相互作用の精密解析も順調に進んでおり、一定の成果が得られたと考えている。今後は、有機分子触媒による反応制御機構の理論的解析をさらに緻密に行なっていくために必要となる種々の弱い分子間相互作用の精密解析を引き続き行なう。特にπ/π,CH/π相互作用などの分散力を主な原因とする弱い分子間相互作用の精密解析手法、カルコゲンの相互作用の解析について検討する。
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