2013 Fiscal Year Annual Research Report
レアメタルを用いないカップリング反応による精密合成設計
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
23105006
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
北 泰行 立命館大学, 薬学部, 教授 (00028862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土肥 寿文 立命館大学, 薬学部, 助教 (50423116)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | 触媒・化学プロセス |
Research Abstract |
研究代表者らは超原子価ヨウ素反応剤の優れた芳香環選択性を利用した、レアメタルを用いないクロスカップリング反応の開発を展開している。 本年度は本メタルフリークロスカップリング開発の進展として、主に以下の成果が得られた。 1. 超原子価ヨードニウム塩を利用したフェニルエーテル類のクロスカップリング反応の開発:電子豊富なヨードニウム塩、特にフェニルエーテル由来のヨードニウム塩が、金属触媒を用いることなく電子豊富芳香族化合物に対して一電子酸化を起こし、カップリングを起こすことを見出し、天然物や生体関連分子中に多く見られる高度に酸素化されたビアリール構造を種々合成することに成功した。 2. 超原子価ヨウ素反応剤を用いた炭素-窒素結合形成ビアリールカップリング反応の開発:ピロール類およびインドール類から調製できるヨードニウム塩のアゾール類に対する反応性を調べ、適切な活性化剤存在下、アゾール窒素のピロールおよびインドール環に対する炭素-窒素結合形成が効果的に進行することを見出した。本反応は無保護のピロールやインドールでも反応がうまく進行する点で優れている 3. フェノール類の酸化的クロスビアリールカップリング反応:酸の添加による顕著な収率向上の効果を見出し、様々な組み合わせのフェノール類と芳香族化合物との酸化的クロスカップリングに成功した。ここでは原料フェノールの酸素とヨウ素原子との間の配位子交換過程の速度向上により、生成物の過剰酸化が抑制される。 4. アニリン類の有機ヨウ素触媒酸化的クロスビアリールカップリング法の開発:アニリン窒素上の保護基による制御を利用した芳香環選択的な酸化的ビアリールカップリングを確立した。さらに高活性ヨウ素触媒を用いることで、触媒的なクロスカップリングにも成功した。本法は有機酸化触媒を用いる酸化的ビアリールカップリングの初めての例である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に掲げた当初の研究目標について、概ね問題なく達成できている。 また、研究成果の公表についても順調に行えている。 研究経費についても、予定どおり無駄なく活用できている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヨウ素を基盤とする反応剤・触媒やそれを用いた新反応を開発し、研究期間内に希少資源の使用や環境への負荷が低い持続可能な合成的手法へと発展させ、さらにそれらを有用物質の合成に役立つように最適化する。これらの基礎研究の完遂に加えて、得られた有用な低分子化合物群を用い、新規機能を持った物質の創生を目指し、物質化学の発展に貢献する。 以上に加え研究の後半からは、ヨウ素触媒の有用性の相対的評価を図る尺度として、慣用的な遷移金属触媒を用いたカップリング法と比較する予定である。 これらの研究の過程で新しく重要と思われるテーマが生じる可能性があるので、その都度研究計画の中に追加したい。実験化学的見地で本研究に支障が生じた場合は、すでに連携のある物理化学や計算化学の研究者との共同研究を率先して行い、理論化学的見地に基づいて研究を進めるなど、期間内での研究計画の着実な遂行に向けて柔軟に対応したい。
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Research Products
(44 results)
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[Journal Article] Generation of 3-borylbenzynes, their regioselective Diels-Alder reactions, and theoretical analysis2013
Author(s)
A. Takagi, T. Ikawa, Y. Kurita, K. Saito, K. Azechi, M. Egi, Y. Itoh, H. Tokiwa, Y. Kita, S. Akai
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Journal Title
Tetrahedron
Volume: 69
Pages: 4338-4352
DOI
Peer Reviewed
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