2013 Fiscal Year Annual Research Report
分子間相互作用ネットワークを駆使した革新的有機分子触媒による新反応開発
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
23105007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹本 佳司 京都大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (20227060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮部 豪人 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (10289035)
小林 祐輔 京都大学, 学内共同利用施設等, 助教 (90509275)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | 水素結合供与触媒 / NHC触媒 / 光励起触媒 / ボロン酸触媒 / アルドール反応 / マイケル付加 / ラジカル付加 / エポキシ化 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、水素結合供与型有機分子触媒を新たに20種類以上合成し、触媒ライブラリーの充実を図った。それと平行して、独自の触媒ライブラリーの有効性を明らかにするため、分子内オキサマイケル反応、アルドール反応、エポシキ化反応など様々な不斉触媒反応を精査した。さらに、光励起型触媒、NHC触媒、ボロン酸触媒など新たな触媒反応についても検討した。 その結果、(1)分子内オキサマイケル反応には電子求引基が置換したベンゾチアジアジン型触媒が、2-イソチオシアナートマロン酸エステルを求核剤に用いたアルドール反応にはチオウレア触媒が、不飽和アミドのエポシキ化反応には嵩高い置換基を有する第三級アミノ基を有するベンゾチアジアジン触媒が、それぞれ有効であることを見出し、世界に先駆けて発表した。(2)光励起を駆動力としてラジカル開始剤様作用を示す有機触媒のデザインとラジカル反応への応用研究に関しては、種々のハロゲン化アルキルを用いたマイケル付加反応を検討することで、触媒の構造活性相関を吟味し、有効な光有機触媒を見出した。(3)NHC触媒と酸化剤を組み合わせた新しい触媒反応の開発を目指して、ラセミ体の2-アリールプロパナールから光学活性な2-アリールプロピオン酸誘導体を合成するDKR反応を検討し、キラルなトリアゾール型NHC触媒と特定のフェノールを求核剤に用いると収率良くかつ高エナンチオ選択的にエステル化が進行することを明らかにした。(4)分子内にヘテロ求核種を有する不飽和カルボン酸を用いて、分子内マイケル付加反応に有効な触媒を精査し、2位に第3級アミノメチル基を有するフェニルボロン酸が反応を飛躍的に加速すること、また溶媒としてはアセトニトリルが最適であることを見出した。また求核種としては、フェノール、スルホンアミド基、ヒドロキシルアミン類などにも適用可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、以下の4つの研究課題を計画した:(1)水素結合供与型有機分子触媒の触媒ライブラリーの充実と不斉触媒反応の開発、(2)光励起を駆動力としてラジカル開始剤様作用を示す有機触媒のデザインとラジカル反応への応用研究、(3)NHC触媒と酸化剤を組み合わせた新しい触媒反応の開発、(4)無保護の不飽和カルボン酸への分子内マイケル付加反応の開発。(1)については新しい触媒を20種類以上合成することができ、触媒ライブラリーの充実と触媒反応の検討を計画した以上に行うことができた。また、不斉触媒反応として利用価値の高い反応を幾つか見出し、その内3つは論文化にも成功したので期待以上の成果を得ることができた。(2)については、ラジカル反応を光励起により促進する有効な有機触媒を見出すことができた。現在、触媒効率の更なる向上と有用性のある触媒反応への応用を探索している段階にあり、着実に進んでいる。(3)については、所望のDKRが効率よく進行するキラルなNHC触媒と求核剤の同定には成功している。さらに基質適用範囲とDKRの発現反応機構などを明らかにすることで選択性の更なる向上を目指す必要はあるが、研究成果は着実に得られており順調に進展している。(4)については、分子間反応を促進する触媒の創製には至っていないが、アミノボロン酸触媒が、分子内アザマイケル付加に加えて分子内オキサマイケル付加反応にも有効に機能することを明らかにした。また、溶媒効果についても幾つかの知見を得ており、今後のブレークスルーに繋がると期待できる重要な知見を蓄積している。以上の結果を総合すると概ね順調に進展したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、これまで検討してきた4つの研究課題を継続して進展させる予定である:(1)水素結合供与型有機分子触媒の触媒ライブラリーの更なる充実と新規性の高い不斉触媒反応の開発、(2)光励起型有機触媒を用いたラジカル反応の開発、(3)NHC触媒とマイルドな酸化剤の組み合わせによりアルデヒドからカルボン酸誘導体の直裁的な合成法の開発、(4)無保護の不飽和カルボン酸への不斉マイケル付加反応の開発および分子間反応への展開などに挑戦する予定である。
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Research Products
(20 results)