2011 Fiscal Year Annual Research Report
有機触媒を用いた創薬を指向した生理活性天然物の実践的合成
Project Area | Advanced Molecular Transformations by Organocatalysts |
Project/Area Number |
23105012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
砂塚 敏明 北里大学, 大学院・感染制御科学府, 教授 (30226592)
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Keywords | 天然物 / 有機触媒 / 創薬 / 分子骨格構築 / 生物活性 / 実践的合成 / 特異構造 / ドミノ反応 |
Research Abstract |
インドールアルカロイドであるヒドロキシアパリシンは、薬剤耐性マラリア株に対し優れた抗マラリア活性及び選択性を有する。しかしながら本化合物は天然からの量的供給が困難である事から、詳細な活性評価が行われていない。そこでヒドロキシアパリシン骨格を有する新規マラリア治療薬の開発を目的とし、大量合成可能な効率的かつ簡便な合成ルートの確立を行なった。すなわち、側鎖部分は、有機触媒を用いた不斉Michel反応により構築し,さらにインドールのC-2へのアルキル化、さらに分子内Mannich反応により8員環を構築する方法を確立し、効率的なヒドロキシアパリシンの初の全合成を達成した。また、全合成過程で得られた中間体や誘導体に関して抗マラリア活性を評価する事により、構造活性相関を明らかにした。 アリスガシンは、テルペン骨格とα-ピロン骨格が環縮合した4つの隣接する環骨格を持つ特徴的な環構造を有している。そこで、アリスガシンのテルペン骨格であるAB環とα-ピロン-芳香環部分であるDE環とを個々に構築した後、これらを一挙にしかも立体選択的に環縮合させるconvergentな方法でアリスガシンの分子骨格を構築する合成法を考えた。その際、この合成の鍵反応であるカップリング反応では、有機触媒であるプロリン触媒を用いいる事で、効率よく一挙にアリスガシンの分子骨格を構築する合成法を開発した。 また、北里で保有している様々なマクロライド化合物を用いて、京都大学の川端先生らが開発した基質認識型有機触媒による位置選択的分子変換を検討したところ、エバーメクチンB2aで、通常のアシルか条件で行なった際は、5位、4"位の水酸基の反応性があまり出ないのが、川端触媒を用いてアシル化すると、反応性の差が優位に出る事を見出しした。現在詳細な反応条件を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒドロキシアパリシンの全合成に関しては、有機触媒を用いて分子骨格構築法を確立し、さらに初の全合成を達成した。また、アリスガシンに関しては、有機触媒を用いたドミノ反応により分子骨格を構築出来た。一方、ネオキサリンの全合成に関しては、分子骨格法は確立出来たが、残るイミダゾール部の導入がまだ出来ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ネオキサリンの全合成に関しては、残るイミダゾール部の導入を検討し、初の全合成を達成する。また、合成法が確立した暁には、類縁体や誘導体を合成して、構造活性相関を明らかにする。 一方,ヒドロキシアパリシンの全合成に関しては、有機触媒を用いて全合成法を確立することが出来たので、今後様々な誘導体を合成し、抗マラリア活性に関してより優れた薬剤を開発する。
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Research Products
(3 results)