2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Hyper Bio Assembler for 3D Celluler Innovation |
Project/Area Number |
23106002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新井 史人 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90221051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 知洋 九州工業大学, 若手研究者フロンティア研究アカデミー, 准教授 (20575162)
丸山 央峰 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60377843)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マイクロ・ナノデバイス / 超精密計測 / マイクロマシン / バイオ関連機器 / 細胞・組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,超高速操作技術を利用して細胞特性をデータベース化し,細胞システムの活動を追跡し,自律誘導するための最適な環境場とダイナミック刺激との関連を明らかにすることが目的である.本年度は,細胞の粘弾性計測システムの計測精度を向上し,改良したシステムを用いて実験的評価を実施した.また,細胞と環境の相互作用の解析を行い,力学的相互作用の効果を検証した. (1)フロー式細胞マルチパラメータ計測技術を改良した.(1-1)マイクロ流体チップの接合技術を改良して漏れを防ぐことで,計測の安定性とスループットを向上した.(1-2)マイクロ流体チップ内の可動部の剛性を向上して力計測時の動作を安定した.A01の金子らと共同で,細胞の硬さ指標を高速計測したサンプルを同じ環境中で精密計測するマイクロ流体チップを製作し,細胞の粘弾性特性を計測した.(1-3)細胞の電気的パラメータの高速計測として,デバイスを改良し,接合が計測精度に影響する点を改善した.(2)モアレ干渉縞を利用し,フロー式細胞粘弾性計測の計測精度を向上した.(3)B01の武部ら,B01の小島らと共同で,スフェロイドの粘弾性特性を計測し,力学的特徴量の評価方法を提案した.(4)前の項目で計測したスフェロイドのデータベースの構築を行った.(5)オープンチップにより,膵島の分離に成功した.また,(6)細胞の培養環境制御として,細胞アッセイと自律誘導制御のための細胞培養環境を計測するセンサを開発した.(7)細胞システムの調整制御として,血管組織の潅流培養システムを構築し,長期的な機械刺激が弾性線維の組織形成に有効であることを示した.また,マイクロ流体チップ内にリン酸オクタカルシウム(OCP)をパターニングし,細胞を個別にケージに導入して,pH,温度等の局所計測するチップをデザインし,センサの特性を評価した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の特色は,オンチップで超高速にマイクロ・ナノロボット操作し,細胞のマルチパラメータ計測を行うことにある.本年度は,細胞の粘弾性を評価するために重要となる力センサの計測精度を,モアレ干渉縞を利用して大幅に改善することに成功した.これにより,計測用マイクロ流体チップを高剛性化することが可能となり,計測の安定性を向上できた.このシステムを利用して,細胞やスフェロイドの力学的特性を安定して計測することに成功した.スフェロイドの特性によって,力学的特性が異なる知見が得られつつある.また,血管組織の潅流培養システムを構築し,構築した組織における力学的相互作用の効果を確認できた.また,マイクロ流体チップ内での相互作用をモニタリングするための環境計測方法としてpH,温度等の局所計測に成功し,センサの有効性を確認できた.以上により,本提案を支える基本原理の確立が順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)フロー式細胞マルチパラメータ計測技術を改良する.(1-1)マイクロ流体チップの接合面精度を上げることで接合技術を改良する.また,プローブの加工精度を改善し,計測の安定性とスループットを向上する.(1-2)マイクロ流体チップ内の可動部と支持体の剛性を適切に設計して,力計測時の動作を安定させる.さらに,力センサのキャリブレーション方式を見直し,計測精度を向上する.また,細胞やスフェロイドの硬さ指標を評価する.対象物の粘弾性,非線形性を評価する方式を確立し,統計データを解析してデータベースを構築する.(1-3)細胞の電気特性の高速計測として,フロー式で連続的に電気特性を計測して評価する.次に(2)フロー式細胞マルチパラメータ計測のための校正用マイクロビーズを調整し,計測性能を評価する.(3)細胞やスフェロイドの培養状況と連動させて特性を評価する.また,リアルタイム培養細胞観察システムを用いて,細胞計測を長期間安定的に遂行し,(4)細胞やスフェロイドの経時的変化を含めた力学特性のデータベースを構築する.(5)特定細胞の計測から,分離,組織構築まで一貫したシステムを試作し,分離した細胞からアセンブリ体を構築してリアルタイム観察する.(6)細胞アッセイと自律誘導制御のための細胞培養・計測環境を整備し,力学的刺激と細胞と環境の相互作用を計測・評価する.(7)細胞システムの調整制御として,血管組織の潅流培養システムを用いて,体内を模倣した周期的な機械刺激を通して弾性線維の組織形成機序の評価を行う.また,マイクロ流体チップ内にpH,温度,カルシウムの局所計測センサアレイを構築し,これにリン酸オクタカルシウム(OCP)および細胞を導入して,環境相互作用を経時的に計測することで,OCPの影響を評価する.
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