2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内分子機能のナノイメージングと機能のモデル解析
Project Area | Molecular Science for Nanomedicine |
Project/Area Number |
23107002
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樋口 秀男 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90165093)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茅 元司 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00422098)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 非侵襲 / イメージング / 好中球 / がん細胞 / GFP |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに我々が開発した非侵襲invivo 観察技術を用いることで,マウス耳介内において、活性化した好中球内部の小胞輸送速度は,しばしば4um/sec にも達することが明らかとなった(Kikushima et al. Scientificreports (2013))。精製された単一のモータータンパク質(細胞質ダイニンやキネシン)の運動速度は~1μm/sec でしかないことから,これには,複数のモータータンパク質が協調して働くといった未知の機構によってなされていると予想される.この高速小胞輸送のより詳細な特徴を明らかにするために,我々は、QD を内包した明るい小胞を持つ、活性条件の良い好中球を精製する手法を編み出した.この精製した好中球内部における小胞の速度を解析したところ,マウス耳介内で観測された際と同様に2um/sec を超える高速小胞輸送が頻繁に観測されることが確認された.このようにして精製された好中球に微小管重合阻害剤であるノコダゾールを作用させたところ,2um/sec以上での高速小胞輸送が観察されなくなった.一方で,アクチンのモータータンパク質であるmyosin IIの阻害剤であるblebbistatin や,myosin II の上流で活性制御を行っているROCK の阻害剤であるY-27632 を作用させた際にも,2um/sec 以上での高速小胞輸送の頻度は大きく減少することが観測された. これとは別に,マウス内がんのイメージングの準備としてKPL4-EB1-GFP, MDA-MB-231(WT,GFP-tub,EB1-GFP)計4株における接種細胞数と腫瘍形成能の検討を行った。その結果、一定以上の接種細胞数があれば高確率(100 %)で腫瘍ができることが確かめられた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画としていた,マウス内細胞の非侵襲イメージングやその細胞内の小胞の動きも観察及び,計測できたため,今年度の目的をおおむね達成することができた.これらの新たな結果をまとめた論文も出版され,非侵襲イメージングといった新しい方法論を打ち立てることができた. もう一つの計画であったマウスだけでなく精製した好中球の中の小胞運動を観察すことも大きな進展が見られた.まず好中球を比較的簡略に精製する方法が確立された.その精製した好中球に量子ドットを結合したところ,マウス内と同様に量子ドットを貪食することがわかり,その後量子ドットの位置を高精度で追跡することもできた.当初予定された薬物による小胞輸送の速度に与える影響のデーターも出つつある.従って,マウス内好中球と精製好中球内小胞の運動の観察が可能となるだろう. 好中球の研究に平衡して,マウスの耳介内にGFPを発現させる実験も順調に進みつつある.最初として重要なGFP発現細胞の腫瘍の形成が確認され,マウス内のGFPの観察を進めている最中である.GFP発現細胞のいくつかを観察することができたことは,計画が重ン帳に進んでいることを示している.
|
Strategy for Future Research Activity |
精製した好中球内の小胞の運動の実験を続行して,データー数を稼ぐ.それと同時にblebbistatin や,myosin II の上流で活性制御を行っているROCK の阻害剤であるY-27632 を作用させる実験の例数を増やして,より確かな値を得て,小胞輸送が早い原因を探る. マウス内の腫瘍に対して,腫瘍に対する抗体を結合した量子ドット粒子を用いてイメージングを行う.さらに,その量子ドット観察とGFPが過剰に発言した発現細胞MDA-MB-231-GFP-tub細胞を用い、耳介内にがん組織作製し、スピンディスクタイプの共焦点顕微鏡により鮮明に非侵襲観察を行う.したところ、細胞分裂直後と思われるGFP発現細胞を捉えることに成功した(図2)。さらにGFP発現がん組織全域(約2mm×約2mm×0.15mm)の3次元像を非侵襲にて捉える. マウス内GFPを鮮明にとらえる方法として,励起レーザーを絞り込むことで,より強くする.GFPの画像が取得されたのちに,GFP発現のがん細胞のみを選択的に強調できる周波数フィルターを用いて画像の処理を行う. これらとは別に,量子ドットに抗体をつけ,細菌(例えば歯周病菌)の発する毒素胞がどのような時間経過で放出されるのであるかのイメージングを合わせて行う.この毒素胞は細菌が外敵を殺したり,侵入した細胞を殺す役割を持ち,医学的にも重要である.
|
-
[Journal Article] Single quantum dot tracking reveals that an individual multivalent 2 HIV-1 Tat-protein transduction domain can activate machinery for 3 lateral transport and endocytosis2013
Author(s)
3.Yasuhiro Suzuki*, Chandra Nath Roy, Warunya Promjunyaku, Hiroyasu Hatakeyama, Kohsuke Gonda, Junji Imamura, Biju Vasudevan Pillai, Noriaki Ohuchi, Makoto Kanzaki , Hideo Higuchi, and Mitsuo Kaku
-
Journal Title
Mol. Cell Biol.
Volume: 33
Pages: 3039-3049
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-
-