2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project Area | Molecular Science for Nanomedicine |
Project/Area Number |
23107003
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
福田 紀男 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (30301534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小比類巻 生 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (40548905)
大山 廣太郎 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (70632131)
照井 貴子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (10366247)
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Project Period (FY) |
2011-07-25 – 2016-03-31
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Keywords | ナノバイオシステム / 生体情報・計測 / 医用画像・バイオイメージング / バイオイメージング / 分子・細胞生理学 / 筋肉生理学 / 分子心臓学 / 生物物理学 |
Research Abstract |
心臓の異なる階層(細胞、摘出心臓、個体)において研究を行った。 (I)ラットの幼若心筋細胞のZ線にAcGFPを発現させ、サルコメアの動態解析を行った。サルコメア長の測定精度は、3 nm(カメラ速度:50 fps)であった。また、Ca感受性蛍光指示薬を用いて、細胞内Ca濃度とサルコメア長変化の同時計測にも成功した。この際のサルコメア長変化の測定精度は、8 nm(カメラ速度:50 fps)であった。さらに、心不全治療薬(omecamtiv mecarbil:OM)の薬効評価を試みた。OMを加えるとサルコメアの動きが増大した。 (II)マウスより心臓を摘出し、Ca蛍光指示薬を用いて心臓の表面から心筋細胞内Ca動態を観察した。その結果、心筋組織内の細胞からランダムなCaウエーブが観察され、そこに外部電極から電気刺激を与えると刺激に同調した細胞内Caの上昇(Caトランジェント)が観察された。 (III)In vivoマウス心臓において、単一サルコメアの動きを共焦点下に観察した(カメラ速度:100 fps)。すなわち、α-actinin-AcGFP発現組み換えアデノウイルスベクター(ADV)を麻酔・開胸したマウスの心臓に投与した。ADVを投与したマウス心臓において、開胸してサルコメア長を計測すると、短縮相、拡張相において平均でそれぞれ~1.7 um、~1.9 umという値が得られた。さらに、心臓の動きにともなう焦点ズレの問題を克服した。すなわち、心電図や心臓内圧から判断した一回の心臓周期を約20のフェーズに分割し、対物レンズを動かしながら取得した焦点深度の異なる画像群から焦点の合った画像を再構築した。その結果、心周期のどの部分においても焦点が合っている動画を構築することに成功した。さらに、拡張型心筋症のモデルマウスを用い、心臓の内因性調節機構が減弱している仕組みを分子論的に明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、動きをともなう小動物個体の心臓から心筋細胞内局所の生体分子の挙動やイオン動態をnm精度で抽出できる顕微システムを開発し、これを基盤として生体分子の集団がどのようにして心臓拍動のリズム調節機構を生み出しているかを解明する。その上で、各心疾患病態の分子メカニズムを解明する。H.25年度、申請者らは、蛍光タンパク質(AcGFP)を利用し、心筋細胞において3 nmの精度(カメラ速度:50 fps)でサルコメア長変化を計測することのできる系の構築に成功した(サルコメア長ナノ計測)。これは、我が国発のナノ計測技術を心筋生理学に始めて本格的に適用したものであり、申請者らの論文(Shintani et al., 2014)は、Journal of Cell Biologyに紹介されるなど、世界的に高く評価されている。さらに、in vivo心臓において、心筋細胞内のCa動態やサルコメア長変化を20 nmの精度(カメラ速度:100 fps)で捉える基盤技術を構築することに成功した。これらの技術を拡張型心筋症のマウスモデルに応用し、収縮が減弱している仕組みを分子論的に解き明かすことに成功した。H26年度以降、これらの技術を各種心疾患モデルに応用すれば、病態解析をnmレベルで行うことが可能になると推測される。よって、現在までのところ、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度、以下の研究を行う。 1)In vivo心筋細胞内のCaならびにサルコメア情報を積み重ね、それらを心電図や心臓内圧などのマクロ情報と組み合わせる。これにより、Ca濃度上昇とそれに伴うサルコメアの収縮が心臓各部でどのようになっているかを系統的に理解する。また、心筋弛緩時に重要な役割を担っているKについても情報を得る。近年、心筋の再分極過程(Kチャネルが主に寄与)の異常が致死的な不整脈を惹起することが明らかにされている。各心疾患モデル(拡張型心筋症、肥大型心筋症、心筋梗塞、異型狭心症など)を用いて、致死的な不整脈が出現する仕組みを明らかにする。 2)iPS細胞は再生医療の切り札として、様々な疾患に対する臨床応用が期待される。これは、心疾患についても例外ではない。しかしながら従来型の心臓研究では、in vivoにおけるiPS細胞の効果を分子レベルで定量的に明らかにすることは困難である。そこで、iPS細胞をマウスの各心疾患モデルに投与し、iPS細胞がどのようなメカニズムで心臓に定着し、どのように機能を発揮するかを明らかにする。申請者らはすでにマウスiPS細胞の培養系を有している。 3)申請者らは最近、アクトミオシン分子の結合・解離に基づいたサルコメアの自励振動(SPOC)の数理モデルを開発することに成功している(Prog Biophys Mol Biol 2011)。現在のところ、このモデルはサルコメア一個を単位とした“ユニット”モデルであるが、これを直列化するとともに、CaやKなどのイオン情報も組み入れる。さらに、2次元、3次元化し、合胞体としての心臓モデルを完成させる。その上で、in vivoイメージングの実験をシミュレートし、アクトミオシン分子の結合・解離速度の変化やイオン拡散速度の変化がどのように心拍のリズム破綻をもたらすかを計算機の上で明らかにする。
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Research Products
(23 results)
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[Journal Article] Depressed Frank-Starling mechanism in the left ventricular muscle of the knock-in mouse model of dilated cardiomyopathy with troponin T deletion mutation ΔK2102013
Author(s)
Inoue T, Kobirumaki-Shimozawa F, Kagemoto T, Fujii T, Terui T, Kusakari Y, Hongo K, Morimoto S, Ohtsuki I, Hashimoto K, Fukuda N
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Journal Title
J Mol Cell Cardiol.
Volume: 63
Pages: 69-78
DOI
Peer Reviewed
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